バッハの「無伴奏チェロ組曲」の楽譜がいっぱい
今月からチェロの個人レッスンは、スズキの4巻に入る。
4巻の収録曲は4曲しかなく、3番目にバッハの「無伴奏チェロ組曲」第1番のメヌエットが出てくる。待望の「無伴奏チェロ組曲」に取り組むことになるので、この曲集の楽譜をまとめて調達した。
合計10種(冊数では11冊)
カザルス系 4種
トーベル輸入版(楽譜と解説が別冊)
トーベル和訳版
Foley/Soyer版
Rosanoff版
フルニエ 1冊
トルトゥリエ 1冊
シュタルケル 1冊
ジャンドロン 1冊
ウィーン原典版 1冊
ベーレンライター版 1冊
このうちカザルス、 フルニエ(CD・3種類)、 トルトゥリエ(CD・2種類)、 シュタルケル(CD・3種類)、
ジャンドロンの5人は、本人の演奏を録音で聴くことが出来る。
こんなに同じ曲の譜面を集めてどうするんだか・・・
実はこの曲集のバッハの自筆譜は行方不明で、いくつかの写譜が伝わっているだけ。長い間自筆譜と考えられてきた楽譜もバッハの2番目の妻アンナ・マクダレーナの写譜だった。 アンナ・マクダレーナは、しばしば夫の楽譜のコピーを作っていて、その筆跡までバッハ本人と似ている。この曲の場合、スラーの書き方が多少大雑把で、どこからどこまでスラーがかかるのか曖昧なところがあったりする。誰かが使うので急いで筆写したためなのだろうか。のちに、自分のコピーが世界遺産級の文化財になると判っていたら、もっと丁寧に写したかもしれない。
他にも、バッハの弟子でオルガニストのケルナーなどによる4つの筆写譜などが伝わっているが、それらの重要資料は互いに異なる部分が多く、バッハの本当の意図を特定するのは困難といわれている。一説には、ケルナーの筆写譜(紙の節約なのか、音符をぎっしり詰め込んで書いている)はバッハの自筆譜の初期のものを写したのに対して、アンナ・マグダレーナは改訂したバッハの自筆譜(おそらく決定稿)を筆写したのだろうとも。
現在では4つの筆写譜は無料楽譜サイトIMSLPにも掲載され、世界中の誰もが見ることが出来るようになっている。
http://imslp.org/wiki/6_Cello_Suites,_BWV_1007-1012_%28Bach,_Johann_Sebastian%29
インターネットさまさまだが、これまでに、この曲集を演奏するために後世の人たちが、それぞれの考えに基づき、校訂した楽譜を出版している。いずれもスラーのつけ方や指番号などが微妙に異なる。これから勉強のためにじっくり拝見してゆこうと思う。
それにしても、一番珍妙な記譜方法を採用していたのがフランスの名チェリスト、ポール・トルトゥリエの版。ミミズみたいな記号やムカデみたいな曲線記号が音符の上に載せてある。独創的というか、何というか・・・
アンナ・マグダレーナの筆写譜とトゥルトゥリエ版を比較すると、画像のような具合。
(両方ともスズキ第4巻に出てくるメヌエットの部分)