弓フェア
都内の楽器店で開催中の弓フェアを見に行った。せっかくの機会なので、高額品コーナーに展示してある弓を順番に弾かせてもらった。
ギヨームの金弓2本(115万)。銀弓1本。Eric Grandchamp(105万)、Christoph Schaeffer(99万)、P.Camurat(115万)、Stephan THOMACHOT(115万)、Franck Daguin2本、Devilleles(?)
ギヨームの金弓の1本目は細身の弓。操作しやすく、クリアで繊細な味を持っていた。しかし若干横反りがあって、新作弓としては品質に難ありだった。2本目の金はヘッド回りのニスが汚れていたので見映えが悪い。竿はいくらか太めで音も標準的。銀弓は、2本目の金弓と似た感じで普通にいい弓といったところ。杉藤MXも比較に弾いたが、淡泊な音色なので地味に思える。生真面目で自己主張が控えめなのは、日本的な謙譲の美徳といえるだろうか。決して悪くはないのだが。
エリック・グランシャンは、ヘッドが丸っこいスワンヘッドタイプで、最近のこの作家の作風どおり。竿は太目でタッチも柔らか。最初に見たギヨーム金の、あか抜けた味と比べると、どことなく朴訥な雰囲気もある。クリストフ・シェーファーはサルトリーの子孫から木材のストックを買って弓を作っている作家。今回の弓も古い感じの渋いこげ茶の材が使われていた。スワンヘッド風だが喉の部分には面取りがある。細身の弓で弾き味はシャープ。音も芯があってなかなかいい。枯れたいぶし銀のわびさび調の音色を持っている。今回出してもらった高額弓の中では、1本めのギヨーム金と並んで個性的な味わいの点で双璧だった(この2本の次に、杉藤MXが端正さというキャラで目立っていた)。
カムラは太目の竿で吸い付きもよく、音も柔らかくてしっとりしていた。新作弓としては、この穏健な持ち味は悪くないが、音色は甘くはない。トマショーとDaguinの3本の操作性は良好。安定感があってさすがに100万クラスの水準だが、音色にはこれといった個性的な味はなかった。Devilleles(?)も癖がなく弾きやすいが、音に特徴的な要素はなかった
このクラスの竿は材も吟味されているから、腰はしっかりしていて操作に不満が残る弓は少ない。音色に関しては、これは(!)と魅了されるような強い持ち味を主張するものは少なかった。
ちなみに試奏室に用意してあったエンドピンストッパーはブラックホールという製品。音を吸うので、楽器の音がこもってきた。私はピンの先端を受ける部分が真鍮製のストッパーを持参して使った。店の松脂はアルシェ101(赤い梱包)。この松脂も音が曇り気味なので、ギヨームの松脂を持参した。試奏用のチェロは、ぼんやりした音の量産楽器なので、弓の良し悪しや相性がはっきり判らない。こういう場合は自分の楽器を持参する必要がある。