早稲田の桜

早稲田の大隈講堂で開かれた文学部のO先生の最終講義を聞きに行った。 O先生のご専門は上代仏教美術史。学生時代に取り組んだ最初の研究対象は飛鳥寺とのこと。以来、40年あまり。今日の最終講義も飛鳥寺本尊金銅仏のX線調査の話だった。

あそこの大仏(といっても丈六仏なので3m弱の高さ)は、鎌倉時代の火事の際にお顔や体が焼け焦げて、ブロンズがかわいそうなくらい傷んでいる。それでお肌がザラザラになっている 箇所は鎌倉時代の後補、当初の飛鳥時代の部分はお肌つるつるの一部に残存するのみとみなされてきた。

しかし、X線を使った非破壊検査の結果、銅の成分に違いがなくザラザラの箇所も、つるつるの箇所も飛鳥時代のものらしいことが判明したという話だった。仏の肉身部分は蜜蠟を使ったロストワックス手法なのでつるつる。衣の部分は砂型鋳造なのでざらついているらしい。 ちょっと削って金属の成分分析をしたいところだが、相手は仏様だから、そうもいかないのだろう。

会場は満席だった。講義が終わったあと、お決まりの花束贈呈があり、ブタビ(舞台美術研究会)の照明演出が行われる中、 O先生は花道を去って行った。ブタビの演出は、ミラーボール2個を回し、大隈講堂の中を往年のダンスホールかなにかのようにしていた。カラオケ大会が始まってもよさそうな雰囲気。気取らないところは、早稲田らしいというか、何というか・・・
界隈の桜は、早くも満開だった。






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