チェロのレッスン 52

マルチェロソナタホ短調の5回目である。 第1楽章から始めて細かいチェックが入り、その後第2楽章に移るいつものパターンだった。

本日の注意事項

① 第1楽章1小節の1拍目、E〜G、F〜Eと動く付点十六分音符と三十二分音符の組み合わせのところ。付点十六分音符と三十二分音符を弾く時の弓の分量は、正確に分けて弾く(三十二分音符は、しっかり短くする)。こういう所がアバウトになると、リズムがあいまいになって崩れてくる。続く2拍目のB(付点八分音符)は、ほぼ全弓を使って朗々と弾く。以下、同じ音形が繰り返されるので、同じように注意する。

② 第2楽章の冒頭、G・B・F・B/G・E・B・E と続く四連符での移弦をする際、弓を持つ右腕を肩から大きく動かしてはならない。A線とD線の間で行ったり来たりする場合、指弓を使うのがコツだそうだ。この場合の指弓は、手首の関節を基点にして左右斜め方向に指を動かすバイオリンのそれとは違う。

チェロの場合、A線を弾く場合は親指も他の指も丸めて弓を持つ通常形で弾くが、隣のD線に移弦する際に、これらの指を伸ばして、弓を少し駒側に押しやるような(ないしは駒側に倒すような)イメージで弾くと、スムーズに移弦が出来る。最小の動きで移弦を済ませるテクニックである。

音大生はこの練習をしっかりやるそうだが、レイトスターターの生徒には普通は教えないらしい。満足に腕を動かせない結果、ボーイングが安定しない(=音量が出ない)人が多いので、指弓どころではなく、むしろ肩から大きく腕を使って音量を出させる指導をすると先生が仰っていた。

また、D線からA線に移弦する時、左ひじが後方(自分の背中側)に引っ込み過ぎてはダメなので、若干左下にひじが下がる程度にするようにとも注意された。この場合の左ひじの動きは基本的には上下方向だけで、左右方向にはブレさせないということ。

③ 今日のレッスンではお試し中のヴォアランを使った。軽量な弓が上滑り気味だったのを先生が目ざとく見つけ、腕の重みを弓に十分に乗せるためのコツを伝授してくださった。手首の位置を微妙に低めに下げ、てこの原理を使って弓圧を増やす方法で、人差し指は弓にしっかり嚙ませ、親指は丸くしてフロッグの先端部分で弓を押さえる。手首に余計な力を入れると音がガサガサするので、ばねのようにしなやかにさせて、その状態で腕の重みをしっとりと弓竿に乗せてゆく。

指弓と手首の使い方の両方を同時に教わり、これらを意識しながら弾いていたら、73gのヴォアランでは手ごたえがなさ過ぎて持て余した。しょうがないので、途中で82gの弓に交換してレッスンを続けた。毛が弦を噛み、そこで発生した情報がスティックを伝わって右手に戻ってくるのを感じて指の力を加減する。このプロセスがソフトでまろやかな味を売り物にするヴォアランでは、いまひとつうまく出来ない。例えて言えば、車のステアリングに路面の状態がタイヤ経由で伝わってくる感覚に似ているかもしれない。柔らかすぎる弓(腰抜け弓とは違う)というのは、足回りがフワフワの旦那車みたいなところがある。



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