ビオラは大変

3週間ほど借りていたヴォアランの弓を返しに行った。 お店に客の姿はなく店主も昼食か何かで不在だった。ぽつんと独り、店主の奥さんが、ビオラ・ダ・ガンバの練習をしながら店番をしていた。

ヴォアランは、しっくりこなかったと話すと「弓は相性があるので仕方ないですね〜」と奥さん。プロ奏者の○○さんも「この弓は僕には扱えません」と話していたとか。 音色はいいけど、使いこなすのは難しい弓もあるから、しょうがない。

店内の棚には、いつもバイオリンが置かれているところに、珍しくビオラがずらりと並んでいた。この頃はビオラの需要が結構あるのだそうだ。

管弦楽曲ビオラパートは、バイオリンに比べて相対的に難易度が低い。アマオケなどに入りたいレイトスターターの人で、バイオリンの技術習得は難しくて敷居が 高い場合、ビオラなら初級者でもそこそこ弾けてやりやすいのだとか。 それに、どこの団でもビオラは慢性的に不足しているので入団しやすいとも。

店主の奥さんがいうには、譜面を見るとビオラを弾くのは簡単そうにみえるけれども、身体への負担はもっとも大きい弦楽器なので、高齢者には要注意だそうだ。関西のあるプロオケのビオラ奏者(女性)は、本番演奏中に疲労骨折したそうで、ポキっと折れる音が聞こえたとか。骨が折れるほど大変という喩えはあるが、本当に折れちゃうとは。怖い話を奥さんから聞いた。

私も学生時代、大学オケのビオラパートが人手不足だったので、一時弾いていたことがある。だから、あの楽器の保持がしんどいことは承知している。ドボ8を弾いた時などは、細かい刻みが延々と続くので疲労困憊、全然簡単じゃなくて往生したものだ。42cmのビオラは低音が太く出てビオラらしい音が楽しめたが、長い時間弾くのは大変だった。演奏中に楽器がどんどん重くなるような気がして、だんだん、左肩から左腕にかけての姿勢下がってきたものだ。

若い時でもそうだったので、今ではまったく無理。年輩のおじさんがビオラを弾く姿を見ていると、大丈夫かな?と思ってしまう。ちなみに、ドボ8で懲りた私は、学生オケに入る前からやっていたバイオリンに戻った。それ以来、ビオラは弾いてない。




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