チェロのレッスン 54

まずはト長調の音階練習から。弓の毛を弦にしっかり嚙ませて重みをのせてから音を出す。音の立ち上がりが明瞭でないと、全体がこじんまりとして、くすんでくる。いつも自覚しながら弾かないといけない。

A線を弾く時に、左肘が背中側に回り込む癖があるのを修正してもらった。左肘はむしろ、左斜め前に向ける感じで、下に落とし込むのがポイント。この時の左手と手首の位置も再度チェックが入った。左腕を左側に水平に伸ばして、そのまま腕を曲げ、チェロの指板上に持ってきた時の手首の位置が望ましい構えになる。基礎中の基礎だが、油断していると崩れてくるので用心しないといけない。左手の親指は浅めにネック下に付けることも注意された。私は親指を深めに構えて、ネックをしっかり握ってしまう形になる癖があるのだ。


次に、マルチェロソナタホ短調(7回目)をやった。この曲、まだまだ、当分終わりそうにない。 第1楽章から始めて細かいチェックが入り、その後第2楽章に移るいつものパターンで、 毎度のことながら、問題点が出てくる。

本日の注意事項

① 第1楽章の冒頭の付点十六分音符と三十二分音符が二度繰り返される箇所で、二度目の付点十六分音符(E)と次の付点八分音符(B)を、どうやってつなげて弾くかを念入りにさらった。EからBへはアップボウからダウンボウに弓が切り替わる。弓を返す瞬間に毛を噛む力が弱まるわけだが、その結果、音が一瞬途切れるのを補正して、二つの音が滑らかに(というよりベッタリ)つながっているように弾く必要があるとのこと。そうしないと、曲想が要求する重厚感が、いきなり冒頭から損なわれてしまう。具体的には、スラーでつながっているFとEをアップボウで弾く際に、Eで元弓まで戻しておく。十分にフロッグ付近まで弓が戻ったところで、移弦してA線に毛を十分に嚙ませ、腕の重みを弦にたっぷり乗せてからBを弾き出す。この時の移弦は素早く行い、二つの音符がタ・ターっという具合につながっているように聞かせる必要がある。もちろん、移弦の時に余計な雑音を出してはいけないし、音量も変化させず同じ音量を維持する。文章で説明するのは難しいが、そんな具合に、ベタ弾きで移弦するテクニックを習った。

② 1小節の4拍目の八分休符はブツッと音を切ってはいけない。ここに限らず、フレーズの区切りとなる休符では、余韻を響かせるように音を終わらせることが肝要。ぶつ切りはダメ。

③ 7小節の4拍目のDはフラジオで弾くが、その時、弓を使いすぎてはいけない。フラジオなので気楽にフワ〜ンと響かせてしまいがちだが、弓を使う量はしっかりコントロールする。荘重な雰囲気を出すには、全般に弓の量は抑え目に使って、じっくりと弾くのがいいようだ。全弓を使おうとすると上滑りして、音楽が軽薄になってしまう。

④ 第2楽章の22小節から23小節にかかるハーフポジションで、音程が甘くなるのを注意された。ハーフポジションの時の4の指は普通形で拡張ではないのだが、つい広がってしまうのが悪い癖。


マルチェロを最後まで弾いたところで、6月1日の発表会で弾くブレヴァールのロンドを見てもらった。

① 冒頭の音形は軽快な雰囲気を出した方が良いとのこと。私は、マルチェロの重厚感を引きずってしまったようだ。

② 14小節のf指定の重音は、右肘の位置を低めにして、腕の重みを十分に弓に乗せて弾く。右肘が高めの位置にあると、音が軽くなってフォルテらしさが出にくい。

③ 27小節からの苦手の十六分音符の連続を弾く際には、右肘の位置は固定する。固定した肘を支点にして前腕だけ動かしてやる。そうすると細かい音の連続箇所では、ボーイングが安定して弾きやすい。後半の95小節からの十六分音符の連続箇所も同様に弾く。

④ 49〜50小節のリタルダンドは、49小節2拍目と3拍目の間でいったん音を切る。ここで、それまでの流れを断ち切って、3拍目から次の小節にかけて順次、スピードを落としてゆく。49小節の3拍目は同じ速度、50小節の1拍目で若干遅くなり、次の2拍目から3拍目にかけて、明らかにそれとわかるようにブレーキをかける感じ。ここで焦って前のめりになっては、せっかくのリタルダンド効果が薄まってしまう。あわてずに腰を据えてじっくりテンポを落として弾かねばならない。後半、110小節のリタルダンドも同様。

先生は私が苦手な箇所を見抜いて、具体的な対策を教えてくださった。




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