チェロのレッスン 58

今回からスズキ教本第4巻の3曲目、バッハの無伴奏組曲第1番のメヌエットを始めた。4巻は去年の9月にスタートしたので、ここまで10ケ月。1曲目のブレヴァールと2曲目のマルチェロにたっぷり時間をかけた長い道のりだった。しかし、バッハの後にチャイコフスキーの「シャンソントリステ」もある。4曲しか収録されていない巻だが、1年以内に終わりそうにない。この頃では、ペラペラのテキストが傷んでしまい、本の中央で4枚の紙をとじているホチキスが外れた。しょうがないので厚紙で補強して使っている(4枚の紙を二つ折りにして、それぞれの表裏に印刷し、合計16ページのテキストにしてある。中身は濃いが見かけは薄いのだ)。

それはともかく、バッハのレッスン、初回はフィンガリングの確認から。事前に自分なりの指使いを考えて予習しておいた。なるべく解放弦を避けるポジションで練習していたが、先生の見解ではバッハの曲は解放弦を使って差し支えないとのこと。ということで、ファーストポジションを多用することになった。とはいうものの、ところどころで親指移動を伴う拡張形が出てくるから、そこは要注意。

メヌエット

4小節めの三重和音の弾き方は、下から慎重に入って柔らかく響かせるのがコツだそうだ。スラーでつながるGとAの解放弦による和音も、ふわっと響かせて軽く止める。その時、弓をさっと弾き上げて余韻を残す。確かに重音でガリガリと雑音を立てたら興ざめである。

11小節は親指を移動させて弾く拡張が出てくるので、しっかり親指を動かす。続く12小節の最初のAはしっかり重みを乗せて弾く。

15小節冒頭のAは解放弦で弾くので、鳴り過ぎないよう軽く弓を浮かせぎみに弾く。続く16小節最初のEはfでテヌート気味に。

20小節の3拍目のDとAの間に区切りがあることを意識する。この二つの音は、先生の説明では「どっこいしょ」という感じで重々しく弾くといいらしい。21〜22小節のスラーが付いた上昇音形はクレッシェンドで。23小節の最初のDは、そのクレシェンドの流れを止める感じでソフトに弾く。

全般にメヌエット1では音を揺らして、抑揚を大きく付けながら演奏するのがいいそうだ。それに対して、次のメヌエット2ではテンポを速め、抑揚は押さえて、シラーっと平滑に弾く。そうすると、二つのメヌエットの対比が鮮明に出るとのこと。


メヌエット

27小節の3拍目の裏、Esから次の小節の最後まではひとかたまりのフレーズであることを意識する。33小節、34小節の3拍目は親指移動に注意。38小節の最初、39小節、43小節にも親指の移動がある。

45小節の後半、Es〜D〜Cと降りてくるところの指使いは、4〜3〜1だが、手元にあるカザルス、トゥルトゥリエ、フルニエ、ヴェンツィンガー、ロザノフの校訂譜では4〜4〜2を推奨している。次の46小節最初のBはスズキ教本では2の指を指定している。一方、カザルス、トゥルトゥリエ〜ロザノフ版では1の指になっている。ここを2で弾く指定をしているのはジャンドロン版ぐらいである。Bを2で取るとポジション移動で左手が動く距離が大きくなる。スズキ教本は、練習用にわざと弾きにくい指使いを選んでいるような気がする。Bを2で弾くか、1で弾くかは、次回、先生と協議してみようと思う。

無伴奏チェロ組曲のバッハの自筆譜は失われ行方不明になっている。アンナ・マグダレーナ・バッハ(バッハの2番目の妻)の手になるコピーなど同時代の筆写譜が4種類あり、音符やスラーのかかり方など細部が微妙に異なる。現在流布している楽譜(2000年の時点で93種類あったという)は、後世の人が編纂したもので、内容にバラつきがある。とりあえず10種類ほどの楽譜を集めてみた。比較してみると、校訂者による見解の相違がいろいろで参考になる。その辺のことは、作曲家の横山真一郎氏のHP「パリの東から」に詳しく書かれている。







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