昆虫博士か?

消費税が上る前に手持ち弓の毛替えと楽器の手当をやってしまおうと思い、次々にチェロと弓を工房に持ち込んでいる。

今回はジャーマン2号(1985年作)を持参。何をいわれるかは、過去2本の調整結果から想定済み。

楽器を覗いてメジャーであちこちを計測していた工房の主人は、「魂柱の立ち位置が標準とは違う。駒から離れ過ぎている。斜めに立っている」との見立て。魂柱調整が必要な話を聞くのは3度目だから予想通り。今の魂柱を使って正確な位置に立つかどうかわからないというから(それも想定内)、新たに作り直すことにした。0.3mm程度の長さの違いが効いてくるのだそうだ。

最近、同じ工房で2本のチェロの魂柱を作り直した。駒も同時に交換したジャーマン1号は音質が激変。懐が深いというか、大人びた鷹揚な鳴り方に変わったので満足している。それに比べると、魂柱だけ交換したイタリアンの音は、どこがどう変わったのかよくわからない。バイオリンで魂柱をいじると、音質や音量がガラッと変わるのが直ぐにわかるが、チェロは・・・?

低音主体のせい?楽器が大きいため?ちょっとぐらい魂柱の位置がずれても、楽器の反応がアバウトなのか?しかし、斜めに立っているとかいわれると、精神衛生上よろしくない。現状の音に不満を感じているわけではないが、好きにやってもらうことにした。あそこで魂柱を作ると、その後の魂柱調製は無料サービスになるし。

その他、ニスのリタッチ3箇所、板の剥がれの修理など、まとめてお願いした。このチェロは昨年11月に別の工房で表板と裏板の周囲の剥がれを全面修理したばかり。なのに、もう2箇所が剥がれていた。ダンピットで加湿していたが、冬の乾燥による収縮で板が剥離したのだろう。剥がれることで歪を逃したわけである。

弓の毛替えは2本を依頼。古めのジャーマン弓と、ずっと使っていないドライカーボンのアウクス。ジャーマンは銀線が若干緩んで微妙に動くことがある。気に障るから巻き直しと革の交換も頼んだ。弓竿の木の収縮などで銀線が緩むことは避けられないそうだ。

工房内に新作チェロが置いてあったので弾かせてもらった。楽器を持った瞬間に悪い予感が・・・軽いのだ。音を出したら、案の定。板の薄い楽器特有のペラペラな音だった。鳴りやすいので、はじめはいいが、へたりが早いかも。中国製アンティーク仕上げの楽器だった。



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