修理に出していたチェロ戻る

ジャーマン・チェロ(1985年製)が戻ってきた。今回は表板周囲の剥がれ3箇所の手当と細かいニス傷の修理、それに魂柱交換をした。修理に出す前は音のバランスは良好で、4本の弦の発音は揃っていた。音に関しては不満はなかったが、冬場の乾燥期間が終わったので、剥がれのチェックが主な目的で工房に持っていった。

工房の主人は魂柱が短いとの見立て(同じ話を聞くのはこれで3度目)、いつものように魂柱を交換してもらった。先週、楽器を取りにいった時は、A線だけ突出して鳴ってしまいバランスが崩れていた。1時間ばかり、ああでもない、こうでもないと魂柱をいじっていたが、結局ダメ。もう1周間預けて、魂柱を若干長くして作り直すことになった。

本日は2度目の引き取り予定日。工房で音出しをしたら仕上がり出来は上々。A線の鳴り過ぎ現象は解消されて、4本の弦の音量が揃っていた。店主はA線を新品のラーセンに交換していた。弦が古いので音が荒れていたそうだ。今の弦は去年12月に交換したので3ヶ月ちょっと。6ヶ月で交換するのがわたしの流儀だが、そういうこともあるのだろう。

しかし、魂柱をいじる前は、4本の弦の音量は揃っていたので、魂柱交換でバランスがおかしくなったともいえる。音量が以前より出るようになりましたと店主は説明したが、もともと、かなり鳴っていた楽器だから、はっきり、それとわかるほどの音量変化は感じない。板の剥がれを直しただけでも鳴りは改善する。どこまで魂柱交換の影響なのかは、わたしにはわからない。

印象論になってしまうが、全体的に健康状態が良くなったせいか、滑らかで、すこやかに鳴るような気がする。弾いていて、楽器の癖とか無用なストレスを感じないので、調整の成果はそれなりにあったのだろう。健全に鳴ってくれてはいるが、ジャーマン新作の限界(音色に艶やかさや色気が足りない)は改善の余地はなさそう。魂柱に関しては、交換して、どこがどうなったのか、よくわからない。おそらく微妙なところで変化しているのだろう。「イワシの頭も信心から」 といった要素があるかもしれない。





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