チェロのレッスン  90

いつもの音階とハイポジションの練習をやってから、スクワイアの「ダンス・ラスティック」の仕上げをした。

踊りの音楽だから調子がいい。放っておくとノリノリで流れてしまう。フレーズの切れ目がどこにあるかを注意し、起承転結のメリハリを付けることが肝要。スラー記号が途切れる谷間は要注意箇所。フレーズの中のキーポイントとなる音は、弓を思い切り使って豪快に弾くと山の頂点らしくなる。などなど。レッスン2度めのスクワイアは30分で終了。

余った15分でスズキ教本第5巻の3曲目、バッハの「アリオーソ」(カンタータ156番)を見てもらった。テノール記号の譜面は予習済みなので弾くだけなら弾けてしまう。ざっと通して指使いの確認と表情の付け方を教わった。

テキストには細かくクレシェンド、デクレシェンド記号が付けてある。なので音を長く伸ばす4分音符の弾き方を工夫する。冒頭のB音にはmf−pの指定がある。こういう場合、途中からす〜っと力を抜いてピアノに変化させる。その逆の場合もある。引き潮、上げ潮のイメージというか、波が寄せたり引いたりするように抑揚を細かくつける。この曲はほとんどがそのくり返しである。

後半16小節からpp指定になる。ここからは指板寄り(ほとんど指板の端末の上)を弾くことで、弱音が綺麗に出る。などなど・・・というのはスズキメソードの教え方による弾き方である。わたしはバッハの曲に細かく表情付けするのは好まない。無駄なお化粧に聞こえてくる。表情を抑制して淡々と弾くだけで十分だと思う。無伴奏組曲のCDを聞いて、いろいろやらかしている曲者だったりすると、1回目は面白く感じても、3回目はうんざり。演奏者の自己主張が煩わしくなる。それと同様で、スズキのテキストが推奨する弾き方は、それはそれとして、「アリオーソ」に関しては順守したくない。

それはともかく、「アリオーソ」は15分でおしまい。 随分と早ごしらえなのは、今日がレッスン最終日だったため。

最近の個人レッスンは、スズキ教本の課題曲の解釈がメインになっていた。先生の弾き方(スズキ・メソードの教室での弾き方)は、ひとつの解釈であり、それが全てではない。しかし、クローンのように先生と同様に弾けるまでを繰り返すレッスンが増え、効率が悪くなっていた。4月からは唐突にテキストがウェルナーに変更されたが、グループレッスンでは2年前からウェルナーをやっている。両方の教室でダブルでウェルナーを習う必要はない。さらに親指の故障がなかなか治らないなどの条件を勘案し、2011年12月にスタートした某大手楽器店主催の教室でのレッスン受講は、本日で卒業することにしたのである。

満2年半、ちょうど30ヶ月、毎月3回で合計90回。すべてのレッスンを休みなく消化した。皆勤賞である。チェロの基礎から懇切丁寧に教えていただいたA先生にご挨拶申し上げたところ、「私の一番弟子だったので、いなくなると寂しいです。また一緒に(どこかで)チェロを弾きましょう!」とのお言葉を頂戴した。

来週からはグループレッスンでお世話になっているS先生の教室で個人レッスンを受け始める。S先生のメソードはA先生の流儀(日本における保守本流)とは真逆なところがある。親指を何とかしないといけないので、奏法(特に左手)を根本的に見直す予定である。




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