チェロのレッスン 92

新しい教室での2回めのレッスンを受けた。いつものように4オクターブの音階(ハ長調)を最初にやった。

1弓1音、1弓2音、1弓3音、1弓4音、1弓5音とやってゆき、最後の一弓で6音ずつ弾くのが難所。前回は途中で数がわからなくなって立ち往生した。今回はリベンジのつもりでしっかりさらっていったから、4往復の途中でつかえずスムーズに弾けた。その後、1弓1オクターブ、1弓2オクターブをやって重音練習に移行。

私の様子を観察していたS先生は、4オクターブめのハイポジションで弾く最高音のあたりが上出来との講評だった。左手のボーイングの形がきれいなんだとか。

指板の端ギリギリまで迫って弾くので、右手を十分脱力しないと、ギーギー、キーキーと雑音が出てしまう。そういう嫌な音を出さないように軽く弾いただけだが、無意識で脱力が出来ているらしい。

反対にローポジションに戻ってくると、余計な力が加わり、音が硬くて良くないボーイングになっているとのご意見だった。ローポジションで出てくる悪い癖は、先月までの2年半、習っていた前の教室の個人レッスンで仕込まれた奏法である。弓を保持する右手はしっかり固定してふらふらさせてはいけないという弾き方が染み付いている。それが自然に出てくる。これを消して、奏法を入れ替えるのが教室を変更した最大の理由だが、そう簡単には上書きできない。

同様に左腕の位置も修正された。S先生のメソードでは、左肘は高い位置にはもってゆかない。体側に左肘をぐっと接近させて、ほとんどくっついていても全然OKである。この姿勢を前の教室でやったら、左肘は高い位置に上げるよう即刻注意されることになる。

誰だったか、左腕や左肘は体側から離して高い位置に置いて弾いた方が上手そうに見えると書いているブログを読んだことがある。ヨーロッパ仕込みのS先生のメソードでは、無駄な労力を使う非合理的奏法とみなされる。日本で上手そうに見える奏法とは、そんな奏法なのだ。

上手そうに見えるかどうかはどうでもいい。弾いている本人にとって疲労が少なく、左手の構えが楽になる姿勢が理にかなっているはずである。左肘を下げて弾くと、弦を押さえる左手の指の形も丸くなり、拡張も楽に出来る。やってみれば、なるほどと納得する合理性がある。こういう安楽奏法が、日本で普及しないのは、何故だろう?(NHK交響楽団の首席チェロ奏者に就任した向山佳絵子さんは、S先生と同じ肘下げ奏法で弾いている。左肘を上げる保守派に囲まれて異色に見える)

あるチェロ教師の方がブログで「サポージニコフ基礎教本」はぜひやってもらいたいと強く推奨されているのを読んだので、取り寄せてみた。昨日届いたテキストを持参し、これはどうでしょうか?とS先生にお見せしたところ、パラパラとページをめくられてから、「むしろドッツアウアーの後半の練習曲をやるべきですね!」とのご意見。ドッツアウアーの20番台、30番台は譜面を眺めると目がチカチカ、めまいが出そう。とんだやぶ蛇で、S先生はドッツアウアーに行きそうな気配。急遽、8月のアンサンブル発表会で弾くシューベルト、5重奏曲「ます」第4楽章の楽譜を出して、フィンガリングを教えていただくことにした。

今月の最終日曜日(6月29日)には、S先生の師匠であるルドヴィート・カンタ先生が金沢から来られて、公開レッスンをおやりになる。私も受講の予定。6月は毎週連続してレッスンがある当たり月となった。


午後からはオーケストラの練習に出た。ベートーヴェン交響曲第7番と「セビリアの理髪師序曲」を弾いた。安楽奏法を心掛けたので以前のように左の親指が痛くならなかった。





左の肘を下げて弾く奏法




 サポージニコフ(1曲が短いのでいいと思ったが甘かった)




 ドッツアウアー(この曲は17段もある。画像はその途中)


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