オーケストラの練習

今日は夕方18時半の音出しだった。定刻に練習が始まり、ベートーヴェンの7番とアンコールのくるみ割り人形をやった。ベートーヴェンではオーボエの1番奏者が欠席したため、第一楽章の冒頭で、いきなりアナがあく事態に。指揮者の指示で2番奏者が1番パートを代奏した。・・・思わず隣席のTさんと顔を見合わせてしまった。チャルメラみたいな音とは違う、もっとふくよかで柔らかい音色。あんな上手なオーボエがいたとは。ひょっとするとエキストラで来たオーボエさん(?)

それはともかく、練習会場となった青少年会館の小ホールは狭い上に、本番間近となって、練習に出てくるメンバーが増えている。本番では9.5プルト(19名!)となるチェロパートは寿司詰め状態になることが予想された。なので、接触事故が起こる可能性を考慮し、楽器はセカンド、弓はカーボン(アウクスのシンフォニア)を持参した。案の定、演奏途中で同プルトのTさんの弓と私の弓がぶつかる事態が生じた。普通の弓とカーボン弓が接触した場合、負けるのは(ダメージを受けるのは)木の弓である。安全を考えると本番でもフレンチモダンなどは持ち込まず、カーボンが無難かと考えてしまった。

しかし、カーボン弓の音色には独特のプラスティック臭を感じる。木の弓とは明らかに別種。パンパンに膨らんだゴム風船の表面を撫ぜた時に出るムギューっという音と親戚関係にありそうな音色といえば近いだろうか。

以前、コーダ社の弓(カラーズというグレードのウエットカーボン弓)を持っていた。弓竿に茶色いメタリック塗装を施したもので、腰はしっかりしていた。中音域が膨らみ、高音の倍音は途中で頭打ちになる独特の音質に違和感を感じ、すぐに手放してしまった。

今、手元にあるドライカーボンのアウクスは柔らかいソフトフォーカスな音を出す。ウエットカーボン弓にありがちな中音域のテカリ感はなく、もっとプレーンなバランスのマットな音質。これも高音の倍音は伸びない。どちらの製法のカーボン弓も、木の弓の音とは異質である点は共通している。

音色に癖があるカーボンをソロ演奏で使うのはどうかと思うが、オケのような合奏なら問題ない。演奏中の接触事故対策にはカーボンはベストな選択だろう。なかでも軽くて強いドライカーボン弓は、長時間演奏でも疲れないから、使い勝手はいい(ネックは、カーボンにしては高価な点)。







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