ブランデンブルク協奏曲第3番を弾く

先月から某弦楽アンサンブルの練習に参加している。今日はバッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番」の2回めの練習があった。前回は第1楽章、今回は第3楽章の初合わせ。そこで伺った指揮者(チェロ奏者だった方)からのアドバイスは、一々ごもっともな内容だった。

① 第3楽章の冒頭、チェロはポジション移動しないと弾けない音が出てくる。16分音符を速いスピードで弾きながらのポジション変更は大変。こういう場合は半音のところで指を移動させるのがコツなのだそうだ。つまり譜面のBからCに移る瞬間に1の指をスライドさせる。私は他のフィンガリングを検討していたが、指揮者の意見の方が妥当である。

② 4の指を拡張してCisを取る場合は、親指を移動すること。1の指は動かしてはいけないので、1と2の指の間隔を広げることで4の指の位置を半音上に拡張する。これは拡張の基本であるから了解している事項。

③ 8〜9小節にかけて、8分音符24個分、ずっとAを弾き続けるような箇所は3拍子系のビート感を意識すること。強拍、弱拍の変化をつけながら弾く。でないと、だんだん、だらけてくるから要注意。

④ 楽譜にはピアノもフォルテも書いてないので指揮者から音量変化の指定があった。強弱の切り替えはデジタル的にスパッとやること。

⑤ チェロの楽譜にはないがバイオリンやビオラには三十二分音符が出てくる。細かい音符が混みあった箇所は、バッハの場合は基本的にフォルテで弾く。当時のチェンバロは強弱の変化が出なかった楽器なので、フォルテに聞こえるよう演奏したい時は、音符の密度を高めてゴチャゴチャっと弾いた。そういう慣例的な演奏方法の影響は弦楽器の曲にも及んでいるらしい(ロマン派の音楽だとこの逆で、音符が混みいった場所はスローで弱く弾くのだそうだ)。 ということで、問題の箇所をバイオリンとビオラに弾かせるのを聞いていたが、確かにフォルテで三十二分音符をしっかり響かせると音楽の表情が濃くなった。

⑥ 4分音符をポン、ポン、ポンと間に8分休符を挟んで弾く場合は、ベタ弾きではなく、音符の後半は音を絞って余韻を残す。バッハ時代の弓は現代の弓とは竿の反り方が逆。竿のヘッド近くになると音が抜けて音量が減少するのが普通だった。今みたいに均一な音量でベターっと弾いていたわけではない(この点に関しては別の解釈もあるらしい)。

・・・といったお話。指揮者は最初はやや遅めのテンポで様子を見ていたが、1時間後には本番のテンポで通していた。この団体は最初からモタモタしないところがいい。 音楽的な表情を付けてゆく以外の余計な作業はなく、指揮者のリクエストに直ぐに対応出来ていた。ついて行くだけで大変だったが面白かった。


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