弦楽アンサンブル #7

バッハのブランデンブルク協奏曲第3番を弾いた。この曲を練習するのは今回が最後。2月19日から練習開始、単独で4回、エルガーの弦楽セレナーデと一緒に2回、合計7回の練習を予定通り消化した(公開演奏を9月にやるそうなので、もう1回だけ弾く機会は残っている)。

バロック音楽でのチェロパートは楽しい。象のダンスと形容をされることもあるらしいが、音符の数が少ないため、バイオリンの人たちが細かい音を必至に弾いているのを遠目に眺めながら余裕で弾ける。

全体練習の前に30分の時間を取ってあるパート練習の時、チェロパートの指導を担当しておられる先生からいくつか注意があった。「♯が付いた音程は、みなさんバラバラですが、同じ音を継続して弾くような場面ではピッチを揃えましょうね」。拡張で弾く時の音程が上がりきってない人がいたようだ。

それと第1楽章の冒頭や途中で何度か出てくるチェロの主旋律っぽい音型を弾く時は、待ってました(!!)みたいに気合を入れすぎてはいけないとも。弾きやすいフレーズであるため、弾き始める時に不必要なアクセントが付く傾向がある点を注意された。

その他、フォルテとピアノの切り替えはスパッと劇的にやって音量差を大きくはっきり出すとか、単純な4分音符と休符が交互に並んでいる箇所での音の長さを均一に揃える必要性とか、基本的なことについての指導があった。

指揮者の先生はバロック音楽は快活さが身上という内容の話をされていたが、CDでよく聞くピリオド系通例の軽業師の曲芸みたいな演奏には、毎度違和感を感じている。王侯の前で演奏されていたたぐいの音楽が、軽薄短小をイメージさせる快速テンポで弾かれていたとは、私には納得が出来ないのだ。当時の最速の乗り物は馬しかなかった時代。スピード感の基準が現代とは違うことを考慮すると、妥当と思われるテンポで演奏しているのはシモン・ゴールトベルク指揮オランダ室内管弦楽団の録音(1958年というピリオドの影も形もなかった時代の演奏)とか、ボスダン・ヴァルハル指揮スロヴァキア室内管弦楽団の録音(1978年)などである。われわれのアンサンブルの指揮者が採用しているテンポは両者に近いので、内心ほっとしている。

ちなみに私は、左手の指が弦に接触する角度をいろいろ変えて、力学的にはどういう角度で弦を押さえるのが最も合理的なのかを考えながらブランデンブルク協奏曲を弾いていた。

チェロ教室を変更して今月で満1年経った。その間、二人目の先生からは左手の構えの角度修正を重点的に指導されてきた。推奨されている左手の構え方は指先を上ナット方向に向けて弦を押さえるもの。拡張はやりやすいものの、腕の重みを指先に乗せるのは難しいため、弦を押さえる指の力を強くする必要が出てくる。音階練習とか重音練習とか、ゆっくり弾く場合は何の問題もないが、ブランデンブルクを速いテンポで弾くとなると、弦を押さえる指が浮き上がり、動きがもたつくため対応が遅れ気味になる。速く、かつスムーズに弾けないので、結局、以前からの構え方に戻る。弦を指の力だけで押さえるのか、腕の重みも利用するのか、考え方の違いが左手の角度に影響するのだろう。必要に応じて、いいとこ取りをするのがいいのかもしれない。



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