チェロ・アンサンブル #22

S先生がめでたく結婚式を上げられ遠方に転居された。その準備で忙しい3月の練習は中止。久しぶりの再会となった先生は「はぁ〜奥さんて大変」とため息。独身時代は自分のペースで家事をやっていられたが、結婚するとそうもいかないとかで。 「冷蔵庫にあるもの、テキトーに喰わせときゃいいんですよ」などと結婚生活数十年の中高年が口走る。スマホで結婚式の写真を見せてもらった。白いウエディングドレスが決まっている。「やれば出来るじゃん」と言われたとか。先生の普段着はジーンズが多い。膝が触れるチェロの縁が青く染まっていたりして。

練習曲目は最初にパッヘルベル「カノン」、次にヨハン・シュトラウス「ピツィカート・ポルカ」をやった。「カノン」は通るようになってはいるが、まだ自分のパートを弾くだけで各自が精一杯の状態。表情を付ける余裕はない。本来ならば流麗に流れる3本の線が絡んで行くところに面白さがある。特に32分音符が連続する箇所はスラーを付けて滑らかに弾くのが普通。しかし、ここのチェロの人たちにそれを要求すると、リズムが崩れてぐちゃぐちゃになる危険性が高いと先生が心配され、スラーは外している。柔らかい音でなめらかに弾きたいところをギコギコ。春風が吹き抜けてゆくような曲想は怒涛の渦と化す。

次の「ピツィカート・ポルカ」は4パートごとに先生のチェックが入った。私は4番チェロを担当。ピツィカートだと音程があっているのかどうかよくわからないので、途中でチューナーのマイクを駒に付けて音程を確認しながら弾いた。この曲も弾くだけでアタフタ。音量差を付けたり細かい表情付けはもう少し先になるだろう。 ピツィカートの音も十人十色。ペンペンペンというかビヨ〜ンというか、リュートや琵琶みたいな枯れた雰囲気を醸している人もいた。

今日は練習を始める前に新入会員の申し込みがあった件について全員で協議した。練習場所として使っている公民館の登録団体になっているため、メンバーの公募条件が公民館のパンフレットに掲載されているらしい。私を含め公募中なのを知らなかった人が多い。だから申し込みがあった場合の対処法は何も決まっていなかった。最近、長いブランクを経てレッスンを再開したという中年女性がエントリーしてきた。それをどうするかの相談。弾けるという場合でも、レイトには痩せギスな音を出し、のっぺりした平板な演奏しか出来ない人が少なくない。楽器が十分に鳴ってないわけだ、その程度ならよい方で、音程の狂いが常態化し、当人には全然自覚がないという方もいる。独奏ならともかく、合奏では不協和音の製造者は具合が悪い。実際の演奏力を確かめるには一緒に弾いてみるしかない。アマオケで時々見かける公募条件を参考にして、しばらくお試し期間を設け、双方の合意が出来た時点で入会を認める案で落ち着いた。



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