今年ももうすぐ終わり。買いもの備忘録

今年もCDを大量に買ってしまい、収納場所に困る状態がますますひどくなった。買っただけで聞いてないものもあるし、買うのが好きというコレクター根性はほとんど病気。そんな中で思い出に残った買い物は・・・

① カール・シューリヒト指揮パリ音楽院管弦楽団によるベートーヴェン交響曲全集(旧EMI)。1957年頃のモノーラル録音だが、タワーレコードからSACD化されて音質が非常に改善された。第九のみモノーラルのほかにステレオヴァージョンも併録されている。第九は大量にある同曲録音の中でも突出した名演奏の一つで、他にこれと似た演奏が思い浮かばないほど個性的。とてもお洒落な第九なのだ。往年のパリ音楽院管弦楽団(1967年にパリ管弦楽団に発展的解消を遂げて解散した)が誇る管楽器群の名人芸は洗練の極みにある。私は1989年にヨーロッパで初CD化された時のセットも買っているし、第九のステレオヴァージョンもリマスターが出るたびに買ったので3種類もある。しかし、SACDの音質を聞いてしまうと、もうCDには戻れない。タワーレコードはいい仕事をしてくれた。

アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリンフィルによるベートーヴェン交響曲全集(旧EMI)。1957年〜60年のステレオ録音。これもタワーレコードSACD化したので購入。カラヤンよりも先にベルリンフィルとステレオでベートーヴェン交響曲全集を録音したクリュイタンスはベルギーの指揮者。LP時代から有名な録音だったが、SACD化で聞きやすくなっている(とはいえオリジナルテープの経年劣化もかなり進んでしまったようだ)。カラッと乾いたタッチのシューリヒト盤に比べると濃厚で芳醇。湿っぽい音質だが、カラヤン流の濃いお化粧が無い分、こちらの方が好ましいと思う人もいるだろう。

ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団によるベートーヴェン交響曲全集(旧エピックレーベル)。1959年〜64年のステレオ録音。これもタワーレコードSACD化してくれて音質がものすごく良くなった。演奏内容の凄さをSACDによって再認識。CDで聞く細身でとがった音質とはかなり違い恰幅のいい図太さもある。完璧主義の合奏力の高さはさすがだし、精緻さと乾坤一擲の充実した気力がバランスした恐るべき完成度を誇っている。最近ではこういうレベルの演奏をする指揮者は皆無で、昔の大巨匠の時代の栄光を伝える貴重な遺産だろう。 ベートーヴェンでは他にもクリップス/LSOの全集(SACD)、クレツキ/チェコフィルの全集(SACD)など昔の録音も購入した。1960年代の録音には、ピリオドスタイルの影響を受けて類型化した今の演奏より、よほど面白いものがそろっている。

④ カール・エンゲル(1923年〜 2006年)によるシューマンピアノ曲全集。1970年代前半のステレオ録音をXrcd24で高音質化した13枚組のセット。高額なので躊躇していたが買って正解だった。一見、「何も足さない、何も引かない」で弾いているように聞こえるが、実は細かくいろいろやっているベテランの円熟の至芸が記録されている。

➄ヨウラ・ギュラー(1895〜1980)が弾いたベートーヴェンピアノソナタの最後の2曲、31番(作品110)と32番(作品111)を集めたアルバム(旧エラート)は、廉価盤で出ているのがもったいない内容だった。1973年の録音で音質良好、掘り出し物的名盤といえる。

最近の録音も買ってないわけではないが(バッハの無伴奏チェロ組曲とかが多い)、面白かったのはテオドール・クルレンツィスの「ドン・ジョヴァン」ぐらいかな。結局、昔の録音の焼き直しの方が印象に残る結果となった。





にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ ヴァイオリンへ
にほんブログ村