年末恒例の第九を聞く

12月28日夜、毎年恒例の年末第九コンサートを聞いてきた。秋山和慶指揮/東京交響楽団の演奏。会場はサントリーホール。座席はお気に入りの2階RAの後ろの方(このあたりの席は舞台だけでなく、客席全体を見渡せるのが重要ポイントなのだ。理由は後述)。東響の第九は東響コーラスが上手なのと、秋山さんの端正な音楽作りが気に入って2014年から連続して通っている。

第九の前にヴィヴァルディの「四季」から「春」・「冬」を演奏するのは東響の定番。ソリストは服部百音(はっとり・もね)という18歳の女性だった。気張って弾いていたけど、ちょっとくぐもったところのある地味な音。楽器はピエトロ・ガルネリとのこと。ヒカリモノがいっぱい付いた空色に近いシルバーグレーのドレスがおしゃれだった。

第九のソリストは例年は日本人歌手4名だが、今年はソプラノ歌手のみディミトラ・テオドッシュウというかなり太めの外人さんだった。この方、声量は圧倒的で他の3名の日本人歌手がかすんでしまうほどの存在感を示していた。第九は歌いなれていないらしく、一人だけ楽譜を見ながら。最高音で滑ったのはご愛敬。ソプラノが突出して目立ったため、4重唱のバランスはよいとはいえなかったが、混成チームだからそういうこともあるだろう。コーラスはキリっと引き締まり、気合も迫力も十分(以前、他のオケで聞いた某音大合唱団は人数ばかり多くて緩く、がっかりした記憶がある)。指揮者は冷静沈着、淡々としていたけれど、全曲最後の〆は急激に盛り上げて煽っていた。最後だけ羊がオオカミに変身したような!(^^

第九が終わった後、拍手喝采の最中に、その後にある「見もの」を知らない客はいそいそと席を立って帰っていった。何度目かのカーテンコールが済むとアンコールで「蛍の光」の合唱が始まるのがお約束なのだ。ソリストも客席に手を振りながら一緒に歌う。あそこは舞台の側面、背中側にも座席があるから、ぐるぐると回転しながら手を振る仕草。それに応じて客側も一斉に手を振り始める。コーラスの人たちが舞台から客席に降りてきて一列に整列する。3度目の繰り返しでハミングになるころ、ホールの照明が落とされ暗くなった空間に、コーラスの人が振るペンライトの光が夜空に浮かぶ星のように輝き始める。座席のお客さんも心得たもので、同種のライトを持参して一緒に点灯していた。2階R席からだと、この様子がよく見えるのだ。初めて体験した時は非常にびっくり。それがつい最近のように思い出される。指揮者の秋山さんは76歳になられた由。年年歳歳、人同じからず。


終演後、ホールの目の前にあるビストロ「オーバカナル」に入るのが毎年の定番。ワインを飲んでほろ酔い気分で深夜に帰宅。今日になってレシート明細を見たら、追加注文したデザートとコーヒー代が含まれていなかった。後から注文を取りに来た人が記入し忘れたのだろう。開店時間を見計らって電話を入れ、次回お店に行った時にお支払いしますと伝えると、応対に出たお姉さんは「ギャルソンからのクリスマス・プレゼントと思ってお納めください」との回答。今後も贔屓にいたしましょう♪


にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ ヴァイオリンへ
にほんブログ村