音楽三昧のゴールデン・ウィーク

4月30日に演奏を聞きに行った鎌倉芸術館でもらったチラシの束で演奏会情報を知り、5日と6日、2日連続で同じホールに通ってコンサートを聞いた。両方ともアマオケの定期公演である。5日は横浜市立大学管弦楽団によるベートーヴェンの5番とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、6日は横浜管弦楽団によるシューマンの1番とブラームスピアノ協奏曲第2番。5月はどこのアマオケも演奏会を開きたがるが、今月は13日と27日にも近隣のアマオケベートーヴェンの5番を取り上げる(来年2月の定期公演で5番を演奏する団体もあるから、それを入れると近所の4団体が連鎖的に「運命」を演奏する。のだめブームの時に私も2〜3回弾いた7番を思い出す)。

学生オケは体育会的なところがあるが、横浜市立大学管弦楽団も規律正しいアンサンブルで清透感のある演奏を聞かせてくれた。チャイコフスキーのソロを弾いたのは2000年生まれというから、まだ17〜18歳の女子高生。全日本学生音コンで1位を取っているそうだ。技術的には文句なしに上手だったが、音量がいかにも小さくて迫力が不足していた。楽器はオールドらしいがパワー不足。私の座席は1階中央。オーケストラの管楽器はよく響いてくるが、弦楽器群はちょっともやもやする感じ。鎌倉芸術館大ホールの音響はややドライなところもあるので、ヴァイオリン・ソロにはつらいのかもしれない。ベートーヴェンの5番は目立ったミスもなく、きれいにまとまっていた。2楽章の107小節から始まるセカンド・ヴァイオリンの聞かせどころ(あの曲でセカンドが唯一歌う天啓の声みたいなメロディ)が、そっけなく終わってしまったのは拍子抜けだった。私は過去に5番の1st,2ndの両方を弾いているが、2楽章のあそこが肝だと思っている。アンコールは5番の終楽章のコーダを再演奏していた。横浜市立大学管弦楽団の存在は今回初めて知ったが上手なオケである。団員の半数以上、ほぼ7割近くは女学生だった。チェロは8名中、6名が女性(男2名はトラと卒業生)。管楽器はほとんどが女性。景色に華やぎがあってよろしいと思う。

翌6日の横浜管弦楽団は平均年齢がぐっと上がり(衣装も黒づくめで)見た目が地味。チェロは10名全員がおじさん。ヴァイオリンはおばちゃんが多い。演奏は渋いというか、緩いというか、アインザッツの乱れが時々発生、トランペットが数え間違えて飛び出すとか、細かい事故があったのは普通のアマオケにつきもの。コンサートマスターの年配男性(この方だけ艶のあるサテン地の黒シャツだったので目立った。チェリストマイスキーの衣装の趣味を連想)の動きを注視していたが、あまり合図を発していない様子。他パートのトップたちもコンマスをほとんど見ていなかった。アイコンタクトが密接に交わされていた前日の学生オケとは対照的。

ブラームスのピアノソロを弾いた男性は、小さなiPadを持参し、楽譜を見ながら演奏していた。足元に置いたスイッチを左足で踏むと電波が飛んでページが変わるらしい。ピアノはベーゼンドルファー・インペリアル。蜂蜜で練った金粉を塗りつけたかのようなゴージャスな音がするスタインウェイとは違い、クリスタルカットみたいな玲瓏な透明感ある音を出していた。3楽章冒頭でチェロがソロを弾くところは、アマチュアには難しい課題だろう。ほとんど聞こえなかったのは残念(ホールのドライな音響の影響もある)。静かな場面が続くこの楽章では、そばに座っていた高齢男性のいびきが困ったことに。演奏が始まると同時にガサガサとパンフレットを開いて読み始めるおばさんとかもそこら中に。休憩時間はおしゃべりで忙しく、暗くなってから読み始めるから、バッグから老眼鏡を取り出したりと、さかんに動く。

アンコールでは、ピアノストはラフマニノフパガニーニの主題による狂詩曲」第18変奏をやった(オーケストラの伴奏付)。最初はピアニストがアドリブでいろいろ弾くので何の曲だか分らなかったが、途中からあのメロディが始まった。ピアノ協奏曲のアンコールでオーケストラも一緒に弾く曲を聞いたのは初めてである。続いてオケのみのアンコールがあり、ブラームスハンガリー舞曲第1番」を聞かせた。オケのノリはこの曲が一番よかった。今年のゴールデン・ウィークは4日間コンサートを聞きに行き(そのうち3回は同じホール)、さらにヴァイオリン教室への出席もあり、近場で楽しむ音楽三昧だった。



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