茅ケ崎交響楽団演奏会を聞く

ベートーヴェン交響曲第5番」を演奏するというので、茅ケ崎交響楽団第69回定期演奏会を聞きに行った。今回は子供から大人まで楽しめるファミリーコンサートという主旨だった。演目は「ハリー・ポッター」「アナと雪の女王」「美女と野獣」の映画音楽、オーケストラを森にたとえ、そこに住む動物たちを交えて紹介する宮川彬良作曲「オーケストラの森」、最後にベートーヴェン交響曲第5番」。日曜日の午前11時と午後2時に同じプログラムを演奏した。


子供連れの家族客が多く(乳幼児もかなりいた)、むずって泣き出す子供の声で賑々しい。最初の映画音楽メドレーは、シーンに合わせてパターン化された音楽が続いた。過去の映画音楽の手法を下敷きにしているため、どこかで聞いたことがあるような曲が多い。舞台にはハープ、ピアノ、チェレスタ、ウィンドマシーンも登場していた。

次の宮川彬良作曲「オーケストラの森」は、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」のような構成で、指揮者による各楽器の説明と実演を一通り済ませてから全曲が演奏された。どことなくリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」のエコーを聞いているような雰囲気。ヨーロッパアルプスの高峰というより、高尾山に登るみたいな感じだが。

ベートーヴェン交響曲第5番」を聞くのは今月2回目である(5月27日にも近隣で演奏される)。5日の横浜市立大学管弦楽団による演奏は整然と整えられたアンサンブルが見事だったが、今回はいくらか平板な印象を受けた。各パートに少しずつ緩みがあり、それらが積み重なった結果、全体像がソフトフォーカスに。客席があり得ないほど騒々しいので団員さんは弾きにくかったのかも。指揮者は精度よりも勢い、熱気で聞かせるタイプと思われた。

ファミリー向けという主旨で映画音楽と宮川彬良の曲を選んだのだろう。子供らには(大人にも)ちょっと敷居が高かったような気がする。こういう企画の場合は、ありふれているが、ロッシーニウィリアム・テル序曲」、オッフェンバック「天国と地獄」、ブラームスハンガリー舞曲」、チャイコフスキーくるみ割り人形」、ラベル「ボレロ」、ヨハン・シュトラウスのワルツ、ポルカの類、など入門用の定番を加えた方がわかりやすいのではなかろうか。

2週間でにアマオケ演奏会を5回聞いたが、一番上手だったのは子供オケ(湘南ジュニア+合奏団)、次が学生オケ。社会人オケはどこも今一つビシッと決まっていなかった。子供オケのマネージャーさんから聞いた話では、ジュニア合奏団に小学生から参加し、音大を出て日フィル団員となり、OBとして子供オケに戻っているメンバーがいるそうだ。今年の演奏会でヴィヴァルディ「冬」のソロを弾いた男の子は、小学生時代からジュニアに参加し、この春めでたく桐朋の大学生になったとか。そういう先輩の姿に刺激を受けてレッスンに励む子供もいるそうだ。パンフレットの楽曲解説を志願して書いた小学生もいる由。まかれた種が順調に育ち、良い方向に回り始めていると思われる。



                (小学2年生のチェリストによる楽曲解説)


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