ヴァイオリン教室 #110

I先生の単独指導日だった。「新しいバイオリン教本第2巻」55番「長調短調の音階練習」の13回目からスタート。次にテキスト第3巻の27番サードポジションの練習をやってから、第2巻に戻って63番「ザイツのコンチェルト第2番」1楽章の復習をした。前回とほぼ同じ内容である。

この段階で3巻のメニューを先取りしている意図がわからないのだが、今日のサードポジションの練習では、先生はポジションを変える途中に楽譜に書いてない音を一つ加えるよう指示された。上がる場合は1の指、下がる場合は3の指で弾く音を挿入し、B→Fisの移動の場合はB→C→Fisといった具合に弾かせた。ポジションを移動する際に手の型を崩さず、そのまま水平移動させるためのエクササイズである(昔、私が習った先生は、手の型をキープしてポジションを移動する方法を重視し、そこを念押しする教え方をされた)。


しかし、I先生は何のためにテキストに書いてない音を一つ加えるのか、その理由を説明されないから、多くの生徒は意味不明なまま教本に書いてない余計な音を弾いていたのではなかろうか。指先で音程をまさぐるようなしぐさをする人もいた。白髪の高齢女性はテキストと違う弾き方を指定され、気の毒にパニック状態でオロオロ。練習中も休憩時間も周囲の人にあれこれ問い合わせていたけれど、聞かれた方も(たぶん)意味がわかってない。教える相手が子供なら理屈を話しても無駄だから動きの方法を具体的に指定すればいいが、大人相手の場合は理路整然と説明した方が飲み込みは早かろう。移動の原理、コツさえ理解出来ればサードポジションは容易なのだ。大人にどう教えたらいいのか迷っているようにも見えるI先生の指導と生徒のリアクションを観察しながら、もう一人のO先生ならどう説明されるだろうかと想像していた。



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