弦楽四重奏#5

毎月1回開催する平日弦楽四重奏団、4回目の練習に出た。4月6日にモーツアルトの4番を公開演奏したので、今日から新しい曲、ハイドン弦楽四重奏曲第76番ニ短調 op.76-2」(エルデーディ四重奏曲集の2番目、通称「五度」)に着手した。第1楽章の冒頭で五度の主題が示され、同じモチーフが楽章全体のあちこちにちりばめられている。エルデーディ伯爵の依頼で作られた四重奏曲集(6曲セット)には有名な「皇帝」の他「日の出」「ラルゴ」などの呼称を持つ曲が含まれている。2度にわたるイギリス旅行からウィーンに帰って最初に書かれた作品だそうだ。64歳になったハイドンの円熟の境地を示す力作とのこと。 
 
今日は初回ということで最初の2つの楽章を合わせた。第1楽章の指定はアレグロだが、モデラートのテンポで弾き始めた。私が担当するチェロパートはシンプルに書かれていて、リズムを正確に数えていればなんとかなるが(なんとかならない箇所もあったけれど)、十六分音符のかたまりが、次々に雪崩のように押し寄せてくるファーストヴァイオリンは大変そうだった。1Vnの指導者さんは余裕で弾けちゃうとはいえ、横で見ていると思わず、ムムム・・・となる。

曲の冒頭、フォルテ指定がある8分音符をどう弾いたらよいか?カチッとした硬いアクセントじゃなく、ずしんと地底から響くような低音が欲しいそうだ。弓の運動量を増やし速いストロークから得られるフォルテが望ましいとのことだった。その他、チェロへの注意事項としては、8分音符が28個連続した後に出てくる4分音符が短くなりがちで低音の支えが弱くなる傾向があるとか、141小節のヴィオラとチェロが半拍ずれて交互に出る部分(画像)、プロ女性が弾くヴィオラの美音を聞いていると、ヴィオラにシンクロしたがるとか・・・(汗)  
 

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リズムを数える場合、単純に機械的に数えるのではなく、音楽的な意味を考え、全体の中で縦の線をそろえる注意箇所は特に慎重になど、いろいろな課題が出た。続いて第2楽章も合わせた。8分の6拍子の曲である。チェロパートには8分休符がやたら目立つ。ズン・チャッ・チャの刻みを意識してリズムの崩れを回避していたが、長いフェルマータが連続し、その次に出てくる付点16分音符と32分音符で一瞬つんのめって転びそうになった。慣れれば解決できるだろう。
 
次回も第2楽章までをさらうことになった。 弦楽四重奏団を結成して5か月、毎月1回合わせてきているのでお互いの呼吸がわかってきたというのか、最初の頃に比べると(細かい点はともかくも)新曲がほぼ一発で合うようになってきた。途中で焦って「ウギャー(?)」とかの嬌声を発しながら、それでも落ちずに弾いている人もいて、なかなか面白い。
 
ハイドンの音楽は端正で高品位なイメージがあるけれど、「五度」もシンプルで明快、含蓄に富む味わいに満ちている。ハイドンモーツアルトほど甘味料を使わず、音楽を水にさらして不純物を流し去り、あく抜きしたような清潔な作品を書いた。 
 
今日は弦楽四重奏の練習が始まる前、午前中にピアニストに来てもらい、シューマンの「3つのロマンス」作品94とショスタコーヴィチ「2本のヴァイオリンのための5つの小品」(ともにヴァイオリン演奏)を合わせてもらった。いずれも8月に都内であるコンサートで演奏する予定である。シューマンは3曲ある中の1番と3番が私の担当で、2番はもう一人の女性が弾く。ピアノパートは単なる伴奏ではない。華やかでドラマチックな音楽を奏でている。これにヴァイオリンが絡んでいくわけだが、元がオーボエ曲のため重音とかはないけれど、長いフレーズでのブレスが難しい。8月までにピアノ合わせがあと3回はあるので、なんとかなるだろう。以前、同じ曲をチェロで弾いた時よりヴァイオリンの方はるかに弾きやすいと思った。
 
ショスタコはヴァイオリン2本、ヴァイオリンとチェロ、チェロ2本など、いろんな組み合わせで演奏出来る曲である。こちらは2本のヴァイオリンの合奏も上々で、何度かピアノ合わせを繰り返せば、こなれていくだろう。今日は午前10時半から午後3時まで、みっちり4時間半の練習をした。関係者の皆様、お疲れさまでした。 

今週の日曜に聞きに行った弦楽(+クラリネット)アンサンブルからのお誘いに応じて参加表明したら、さっそく指導者さん(平日弦楽四重奏団の第1Vn)から、ヴァイオリン譜の束を頂戴した。シュターミッツ「クラリネット協奏曲」、バッハのドッペル3楽章、アンダンテ・フェスティーボ、ヴィヴァルディ「夏」、パッヘルベル「カノン」その他、13曲もあった。