チタン製アジャスターねじを試してみたら

ヤフオクにチェロのテールピース用チタン製アジャスターねじ(4本セット)が出品されていたので落札してみた。出品者は中国製チェロ弓などを頻繁に出品している常連である。商品説明にはこんなことが書いてある。

 

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「優れもの●チタン製アジャスターねじ●4個セット」

〇長さ:約19mm

〇ねじピッチ:M3

〇重さ:4個で約5g (キッチンスケール実測)

 

チェロ用のテールピースアジャスター用のチタン製ネジ(スクリュー)です。

一般的なねじピッチで、「ウイットナー」「Pucsh」「Akusticus」をはじめ、ほぼ一般的なテールピースに使えます。素材「チタン製」がポイントで、通常のスクリューの約半分程度の重さで、硬くかつ強靭です。

 

安全、簡単かつ確実に性能向上する可能性があります。「レスポンス向上」「音抜けが良くなる」「雑音が減る」「弾き易くなる」という面が期待できます。私の場合、雑音感の軽減が顕著でした。たかだかネジですが、変化をはっきり実感できることと思います。

「弦楽器のパーツ類は軽さが命」の方にはたいへんお勧めで、上の「 」内の効果が、期待どおり得られると思います。「チェロバス周辺パーツは若干重めが吉」という方は、きっとがっかりすると思います。

 

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届いたねじを早速オールドチェロのテールピース(ボア・ダルモニのフェルナンブコモデル)に装着してみた。ピッチは合致していたが、スムーズには回らずかなり固い。ねじの全長は既存の鉄製ねじよりも短いため、調律幅も狭いようだ。肝心の音は典型的な「チタンの音色」に一変した。エンドピンをチタン製に交換したのと同じくらいの効果がある。倍音が増えてやや甲高い抜けのいい音になる一方、ふくよかさは減少し、若干メタリックな艶が加味される。私の楽器では雑音感の軽減は見られなかったが、発音がシャープになる分、ボーイングがシビアになるところがありそうだ。饒舌になるため、もともと鳴り方に不満がないオールドチェロには不必要と判断し、セカンド楽器(ミッテンバルトのレオンハルト工房1996年製)につけてみた。

 

そちらのテールピースは「Akusticus」。交換したチタンのねじがこちらでは滑らかに回る。ややもっさりしていた楽器の音が一皮むけたような明るい感じに変わった。相変わらず発音はシャープで弓に対する反応性も高まり、音離れが向上した印象。くっきりした鮮明な音質は悪くない。チタンねじは、くぐもったところがある楽器には適しているのだろう。ねじのあたまは黒く着色されているため、既存の鉄製ねじと交換しても見た目の違和感はない。チタンのパーツを弦楽器に使うと、ヴァイオリン(あご当ての金具やチタン製テールガットがある)でもチェロ(エンドピンとかテールピース)でも、音の柔らかさが減少し、その代わり特有の甲高い音色感、パリっとした硬質な艶が加わる。好き嫌いがはっきり出るため、誰にでも勧められるものではない。

  

 

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