BBO(ベートーヴェン ブラームス オーケストラ)

4月30日にベートーヴェンブラームス に特化したアマオケの5回目の演奏会を聞いてきた。毎回、それぞれの作曲家の交響曲を1曲ずつセットで演奏している団体である。会場は横浜市の南区役所の敷地に併設された公会堂。このオケの演奏を聞くのは今度で3回目になる。最初の頃はお客さんもまばらで客席は空席が目立っていたが、今回は8割ぐらいの入りだった。客席は前後左右が空席になっている場所を選んで座った。お客さんの大半はマスク着用。オケのメンバーでマスクをしていたのは3名ぐらいだった。

今回はベートーヴェンの「エグモント序曲」と交響曲第6番「田園」とブラームス交響曲第3番。指揮者は今風の快速テンポで音楽を進める。ベートーヴェンはちょっと粗さがある演奏になっていた。これは毎回そうなので意図的にやっているのだろう。

ベートーヴェンの演奏スタイルはこの半世紀の間にだいぶ変わった。時代を刷新する音楽を作り続けた作曲家だから、彼の作品には刺激的な棘が節々にある。かつては棘をオブラートで包んで円満に演奏したものだが(ワルターベームの「田園」)、今はベートーヴェンの革新性や無骨さなどをストレートに見せる時代となった。ギザギザした演奏スタイルに対する違和感も減って、のどかな田園風景というより、畑の中に新幹線や高速道路が通っていて、車窓から田畑を見ているような感じがした。

ブラームスの3番は、指揮者のサクサクと進めるテンポがいい方向に効いて、スタイリッシュで格好良い演奏になっていた。往年の巨匠風のゆったりしたテンポで3番をやると、ちょっと冗長気味でもたれることがあるけれど、今回は最後まで目を離させない推進力があり上々の出来だった。この楽団の初期の頃の演奏と比べると「どうしちゃったの?」とビックリするほどの完成度だった。定期演奏会も5度目ともなると錬成度が高まってくるのだろう。アンコールにベートーヴェン交響曲第7番の4楽章を熱演したのも意外なサービスで、客席は大いに盛り上がっていた(7番は2018年に開かれた最初の定期演奏会でやった曲)。

 

メンバー表を見たらヴァイオリンは14人中エキストラが5人、ビオラは5人中2人がトラ。問題はチェロで団員は1名だけ、残り4名がトラ、コントラバスは3人ともトラだった。管楽器は団員が多くて演奏技術も安定していた。

正規の団員が一人しかいないチェロパートを注視していたが、最前列に座っている奏者2名の片方は時々弓が停止して固まっていた。そのとなりでバリバリ弾いているエキストラとは対照的だった(トラで来る人は弾ける人だから、時々難所でフリーズする方が団員だろう)。

毎回チェロのトップを弾いている若い男性はえらく上手で、身振りも大きくてひときわ目立っていた。プログラムに印刷されたメンバーリストの名前から調べてみたら、案の定、トラで来ているプロの方だった。他のチェロのトラさんは年配男性ばかり。背が高い彼だけがいろんな意味で突出していた。

 

コロナの流行が始まってからはコンサートホールや美術館などにはまったく近寄らないで来たけれど、そろそろ少しずつ再開しようかとも思う。だが、感染者はじわじわと増えているらしい。コロナ前にやっていたチェロアンサンブル、弦楽合奏弦楽四重奏などのグループ活動の再開はまだ未定の状態である。