電車に乗って思うこと

この頃は出不精というか電車に乗って出かけるのがちょっと億劫になってきた。都心に出るのに1時間ちょっとかかる近郊住宅街に住んでいる私にとって、使い勝手がいいのはJRである。だが、遠回りで時間が余計にかかっても、なるべく小田急線を使うようにしている。理由は駅構内が静かだし電車内も静かだから。

東京周辺のJRの駅は何故あんなにアナウンスがやかましいのだろう?同じホームで上り線と下り線のアナウンスが同時放送されることは当たり前。片方は男性の声、もう一方は女性の声で流れ、同時に聞こえても区別しやすい工夫をしているが、案内を必要とする人にとって、ちゃんと聞こえるかどうか疑問。放送が流れている最中に駅員が手持ちマイクでがなりたてることも珍しくない。「電車が来るから白線の内側に下がれ」とか絶叫調で繰り返す。小学生の子供相手じゃあるまいし辟易する。

一方、小田急線の駅ではその手のやかましい放送はほとんど聞いたことがない。電車内のアナウンスも饒舌なJRに比べて穏やかで静か。車両内に響いてくるガタゴトいう機械的な騒音も随分と小さい。揺れが少なく滑らかに走るのは線路の保守管理の違いなのだろうか。小田急だけではない。東横線でも相鉄線でも横浜市営地下鉄でも同様。JRだけが突出してやかましい。イヤホンで耳を塞いでる人が多いのは騒音対策かと思ってしまう。

さまざまな騒音に無頓着な体質は国鉄時代の名残といえようか。発車ベル代わりの音楽も、駅ごとにメロディを変える手間をかけたりしているけど、根本的な勘違いをしている。他の私鉄はそこまで過剰に親切じゃないが特に不都合な話は聞かない。客を過保護する=幼児扱いする騒音だらけの環境から開放されても、繁華街は店頭から流れる音楽とか呼び込みの声で溢れている。JRばかりを責めるわけにはいかないか。

以前、山口県の萩に行ったことがある。観光地化している旧武家屋敷のあたりは、日中でもし〜んと静まり返っていた。結構多くの観光客を見かけたが、皆さん静けさを邪魔しないようおとなしく散策していた。立ち話もヒソヒソ声。いたるところに植えてある夏みかんの葉にそよぐかすかな風の気配しか感じない。そんな市街地が日本にあったとは。周囲が静かだと、人間は自分から音を出すのを憚るようになるみたい。JRの車内でノートパソコンを広げてお仕事中の乗客が、キーボードを叩くカチャカチャ音を撒き散らすのも、同じ理由によるのだろう。




にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村

にほんブログ村 クラシックブログ ヴァイオリンへ
にほんブログ村