今どきの学生は・・・

所要でお茶の水に行ったので、久し振りにニコライ堂に寄ってみた。今日は小春日和の好天だったせいか、ニコライ堂の庭先は先客でいっぱい。中高年のおばちゃんグループがスケッチに来ていた。 色鉛筆や水彩絵の具で描いていたが、中にはイーゼル持参の本格派もいらした。

しばらくすると、学生のグループが先生に引率されてやってきた。手にはスケッチブックを持っている。彼らは敷地に入らず(先客が占領していたため)道路を挟んだ隣のビルの敷地まで後退して描き始めた。ニコライ堂の敷地内では建物に接近しすぎて引きが取れない。全景を見るなら少し離れる必要があるわけだ。

ニコライ堂は煉瓦積の建築なので、円形ドームとその下の方形の堂屋の接合部分が複雑な形状をしている。円の下に六角形が挟まり、さらに四角形に繋がる構造で、あれをスケッチするのは難しいだろうと思い様子を見ていたら、学生たちはスマホを取り出して写真撮影を始めた。ニコライ堂の前でスマホの小さな画面を見ながらニコライ堂の絵を描いているではないか。

「あんなズルして・・・」とは思ってみたものの、中国では古来「伝移模写」といって、先人が描いた絵画を模倣することも重要な絵画修行とみなしてきた伝統がある。今なら先人の絵画の代わりにスマホの写真を模写するのも、学生には勉強になるのかもしれない。昔ならポラロイド写真がせいぜいだったが、今どきのスマホの便利さとは比較にならない。スケッチする前にスマホで撮影とは妙な時代になったものだ。



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