テールピースの交換 

ジャーマンチェロのテールピースを替えて遊んでみた。まずは、プラスティック製品。ドイツのAKUSTICUSというブランドのテールピース。広く使われているものである。

バイオリンの場合だと、プラスティックのパーツは廉価品でしかない。しかし、チェロの場合、AKUSTICUSは比較的軽量で発音が有利になるため、これを使う人は少なくない。金属製のアジャスターをあらかじめ組み込んであるので使い勝手はいい。裏を見ると意外にごついのでびっくりしてしまう。付属のテールコードは針金。長さ調整は簡単にはできない。楽器のナットに針金が食い込む心配もあるから、あまり気持ちのいいものではない。

肝心の音質だが、大きなアジャスター金具と針金が影響しているようでニュートラルというのか無機的、無表情な感じがする。よく言えば癖がない。悪く言えば面白みがなく無味無臭。プラスティックなので木材と違って音が味気なくなるのは仕方ない。ただし、音色に変な色付けをしないところは好感が持てる。楽器屋さんの中には、AKUSTICUSが一番音がいいと推奨している店もある。

次にフランスのボア・ダルモニ社の黒檀モデルをつけてみる。見た目の良さは素晴らしく、プラスティックと比較する気も起らない。プラスティックは数千円、こちらは数万円。だいぶ価格差がある。音質は植物由来の有機的な滑らかさときめの細かさ、さらに温かみが加わり質感が大幅に向上してくる。テールコードが針金ではなく、ナイロンなのも効いているようだ。プラスティックの時は、A線だけが鋭く金属的に響いていたのだが、その癖も収まり、4本の弦のバランスが整ってくる。

プラスティックのテールピースを装着すると、深みが足りないそっけない音を出す楽器に思えるが、黒檀に交換すると楽器自体の印象も良くなる。テールピース一つで随分と音が変わってくるので、フィッティングの品質は軽視できない。そこそこのレベルの製品を装着してやらないと、楽器本来のポテンシャルが出てこない場合もあるのだろう。








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