弓のニスを拭き取るとどうなるか?(良い子は真似をしてはいけません)

厚めにニスがかかっていた弓のスティックをアルコール(無水エタノール)で拭いてみた。白い布地がどんどん茶色になったので、相当濃い着色をしていたようだ。ニスを拭き取るといっても全部取れるわけではないので、見栄えはそんなに変わらない。余分な化粧を落としたので、ニスが隠していたフェルナンブコの髄線が浮き出てきた程度の変化である。ダマが点在するような下手な厚塗り状態だったニス(おそらく後塗り)を取ったので、自然な色艶に戻った感じ。

音色はシャープというか華やかというか、ひと皮剥けたストレートな音になった。剥がしたニスの重さなど、ほとんど計測不可能なくらいの数値だが、音は変化する。ニスが厚いと少しこもった感じの音になるのは楽器本体と同じこと。弓も共振してスティックが振動するので、カバーニスが厚くなると、木の振動を抑えて倍音成分を抑制する制振作用をするのだろう。

フレンチモダンのスティックをアルコールで拭く勇気はないが、50年ぐらい前のドイツ弓だから、まあいいなかと思ってやってみた。この弓は、ぬめり感のあるしなやかなスプリング性能だったが、ニスを拭き取ったら幾らかスリムになったせいか、ぬめり成分が減ってさっぱりした感じ。音色も多少若返ったように思う。ニスで弓の音が変わる話は聞いていたが、実際にやってみたら確かに影響はあった。非常に微妙なレベルでの話だが。(真似をする人はいないと思うが、弓のクリーニングはプロに任せましょう)



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