毎年恒例の夏のプチ発表会

今年も某SNSのコミュニティ主催のチェロの発表会が小田急沿線駅近辺のホールであった。午後1時半開演。ほとんど休眠中のコミュが多い中で、ここは毎年8月中旬のイベントを欠かさずにやってくれる。今年が7回目。継続しているのは主催者とそのご家族の協力のたまものである(私は5回目の参加)。

今回は主催者が多忙のため例年通りに開催するか否かの連絡が大幅に遅れた。それで参加者は9名(そのうち2名は1グループ)と少なかったが、その分、2度目のステージ演奏が可能で、私はバッハの無伴奏チェロ組曲第2番(プレリュード、アルマンドクーラントサラバンド)を1回目に弾き、他の出演者の出番が終わった後で、再度ステージに乗り組曲第1番全曲を弾かせてもらった。立派なホールで聴衆を前にバッハの無伴奏組曲を弾ける機会はめったにない。 得難いチャンスを逃す手はないから、主催者が2度目の希望を募った瞬間に手を挙げた。

1回目の2番を全曲演奏しなかったのは、当初8月に弾く予定はなく、難所のメヌエットがまだこなれてないため。1番は昨年に続いて同じホールで2度目の演奏となり、去年よりはいくらか快速テンポで弾けたと思う。その分ミスも多発したが。

組曲だから抜粋で4曲、全曲なら6曲を弾く。本番ではそれぞれ曲の最後のあたりで指がもつれて不安定になってしまった。普段の練習の時には間違わない箇所を失敗するのは、本番ではありがち。もうすぐ終わりが見えてきたと思うとミスが発生する。瞬間的に指使いがわからなくなったりして。しょうがないので、繰り返し記号で折り返して再度リベンジした。無事通過出来た曲もあったが、また同じ箇所で躓いた曲も。弾き込みが足りないのと、集中力が続かないのは自覚しているが難しい音楽だからしょうがない。事前の練習では1日に全曲を3〜4回弾く程度だった。無伴奏組曲は長いので通すと疲れてしまい、何時間も弾いていられない。そんな訳で公開演奏でノーミスで弾き切るのは最初から無理と思っているから、失敗しても慌てず知らん顔して弾き続けることが出来る(それでいいのか?)。

打ち上げの宴席でピアノの先生が、プロはまずは体作りから始める。体力勝負だからと仰っていたけど、なるほどそうだと思う。数時間弾き続けてもヘタレない筋力、スタミナ、精神力がないとプロは務まらないわけだ。

毎年、北陸地方から来られる上級者の男性が今年もお越しになったが、寝坊したとかで大幅に遅れて会場入りされた。個人の演奏時間が終わろうかという頃。つまり私が本来は彼の出番だった枠を使って2度目のステージ演奏をしている最中に客席に入って来られた。私は演奏中に客席で動きがあるとそちらが気になってしまう性分で、バッハを演奏しながら遅刻して来た人の服装とかヘアスタイルをチラッと観察していた。スタイリッシュな方なので今年はどういう装いで登場かと興味津々だったりして(そんなことしているからミスが出る)。

私の出番が終了した後、彼は持参された自作の5弦ビオラ・ダ・ガンバを披露。楽器の話とサンプル演奏を聞かせていた。相変わらず別次元の技量で、すご〜く上手だった。その後、参加者が次々に珍しい楽器を試奏してみることに。私も弾いてみたが、E線(かつてラーセンが5弦チェロ用に作っていた弦とのこと)が甲高い金属的な音色を出すのが異色だった他は、案外普通っぽい音が出た。むしろ私の興味を弾いたのは、スネークウッド製のバロック弓の方だった。

フェルナンブコより硬い樹木スネークウッドで作られた細い弓は、華奢な外見とは裏腹に、かなりの剛弓といってよいレベル。カチッと引き締まった音が出るし、チェロ弓より軽くて短いため機動力が優れる(つまり扱いやすい)。軽量級なのでパワーは少ないが、明晰な音色が出るし、小回りに優れるから、バッハの組曲を弾いてみたら予想外に弾きやすいので驚いた。

バロック弓(復元モデル)にも当たり外れが結構あるそうで、持ち主は3本買った中で1番状態のいいものを選んで、さらにバランス調整などの加工をしているという。もう弓を増やすのはやめたいところだが、バロック弓は検討する価値があると思った。



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