チェロ2本によるコンサート

地元の小ホールでチェロ2本によるコンサートがあった。出演者はオーケストラアンサンブル金沢のルドヴィート・カンタさんと、その弟子で私のチェロの先生であるS先生。ソロと2重奏で2時間ぐらいの演奏会だった。

曲目はドッツアウアー、ポッパー、グリエールなど。チェロ学習者には馴染み深いエチュードを取り混ぜたプログラムだった。客席にはグループ・レッスンの生徒、地元アマオケのチェロメンバーらがずらりと勢揃い。予約制のコンサートで、客筋を配慮した内容と思われる。

ご両人がソロで弾いたエチュードは、プロオケの入団オーディションとか、チャイコフスキー国際コンクールの課題曲とかのレベルだそうだ。ピアッティのカプリースなどは、アマチュアには手が出ない難曲だった。

2重奏の部ではウェルナーの初級者向けの平易な曲も弾いてくれた。音階にオブリガートが付くだけのシンプルな曲だが、プロがやれば高級な雰囲気になる。 ポッパーの2本のチェロのための組曲アルベニスのスペイン組曲とかも演奏され、最後に若手の人気ユニット2cellosのレパートリーから4曲を弾いてくれた。

わたしは最前列のかぶりつきでカンタさんの左手、右手を凝視していた。日頃、S先生から習っている脱力奏法の親方の動きは、なるほどのリラックスぶり。弓を持つ右手は、軽く竿をつまむ感じでヒラヒラ状態だった。

カンタさんは4弦全部がスピロコア、S先生はA線のみヤーガー、残り3本はスピロコアだった。カンタさんの演奏は、柔らかい渋めの音ながら結構艶ぽい表情もタップリと付いて色気を感じさせた。対するS先生の音はモノートンで生真面目。師匠の音が満開の牡丹なら、弟子はこれから開く蕾といった風情。ともあれ珍しいチェロ2本のコンサートが聞けて面白かった。








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