チェロ・アンサンブル#86

7月のレッスンは台風が来た影響で中止になったため、今回は2か月ぶりのO先生の指導日となった。風雨が強くなった場合、車で移動するメンバーはともかくも、徒歩で来られる先生が大変なので、悪天候が予想される時はレッスンを開催しないことにしている。

 

今回は猛暑の中、4名が出席した。サポージニコフ教本は107番「重音のエチュードと応用練習」の1曲をやった。O先生は初めに上だけ、下だけを単音で弾かせ、次に重音で弾くよう指示された。107番は上段の7小節目が難しい。3と4の指を交互に動かす時にもたもたしてくる。5度下げて(つまり弦をずらして)弾いても、7小節目が難しいのは同じ。O先生によれば、こういう重音を弾く時は腕の角度を少し持ち上げ気味に、手首は曲げ過ぎず平らな状態にすると弾きやすくなるそうだ。

 

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休憩後はショスタコーヴィチ「2本のヴァイオリンのための5つの小品」をチェロ用に書き直した楽譜を使ったレッスンの5回目をやった。今回は3曲目のエレジーと4曲目のワルツの、それぞれ上のパートを見ていただいた。ヴァイオリンで弾けばそれほど難しくない曲だが、オクターブ下げた編曲でチェロで弾く場合は、ハイポジションが多発するためなかなかに大変。ショスタコらしい不思議な響きの半音階も混ざって来て、音程を正確に取るのも難しい。念のために、2オクターブ下げた楽譜も準備してあり、そちらを使えば難易度がグッと下がってくる。しかし、皆さんは頑張って1オクターブ下げの難しい方の楽譜を使い、ハイポジの練習をしている。楽な方に流れないのはよい傾向。

 

 

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「あいちトリエンナーレ」が炎上

 名古屋で開催されている「あいちトリエンナーレ」が注目を集めている(トリエンナーレとは、3年に1回開かれるの意味)。2日目に河村たかし名古屋市長が見に来て、「どう考えても日本人の、国民の心を踏みにじるもの。いかんと思う。県知事に撤去を要請したい」と発言したニュースが流れてから、がぜん注目が集まった「少女像」。

 

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文化庁補助金が出ている展示らしく、報道によると菅官房長官が芸術祭が国の補助事業として採択されていることから、事実関係を精査し、補助金を交付するかどうか慎重に検討する考えを示したという。

 

なんと、まあ・・・!

 

憲法で保障された表現の自由は守られるべき」と発言するのが相応しい対応だろうに。政府首脳が炎上に油を注いでどうする。そういう事を言ってるから、お口にハイヒールを突っ込まれるのだ(詳細は後述)。

 

これに対して、トリエンナーレの芸術監督を務める津田大介氏が2日夕方会見を開き「行政が展覧会の内容について隅から隅まで口を出し、表現を認める認めないを決めようとするのは、憲法21条の『検閲』に当たる。多くの人が不快になる表現があることは分かっているが、これらの作品が公の美術館から撤去されてきたという事実が議論になればいいと思っている」と述べたという。

 

企画展のタイトルは「表現の不自由」。展示不可にされた作品を集めて一堂に見せるとは、意表を突く問題提起の仕方で挑発的だ。このぐらいの仕掛けがあった方が人々の興味を引くし、実際そうなった。現代美術展でこの長蛇の列は凄い。

 

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そもそも、戦争の惨禍とか戦争がもたらす不幸をテーマにした作品が 「快適」なはずはない。戦争関連の作品を見るのは、人によっては辛いかもしれないが、楽しさを提供するだけがアートじゃない。嫌ならスルーすればいいだけ。自分が気に入らないからといって、撤去を要求するのは筋違いである。ネットで炎上させている人たちが、補助金支出の妥当性に言及し、作品が提示する問題をすり替え、矮小化させているのも感心しない。税金は時の権力者が勝手気ままに使っていいポケットマネーではない。

 

一方、この騒動に混ざってネット上で拡散したのが、安倍首相と菅官房長官と見られる人物の口をハイヒールで踏む作品が出品されているとの情報。

 

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現代美術作家の竹川宣彰氏による作品『Eat this sushi, you piece of shit』だそうだが、実際はトリエンナーレに展示されてない。展覧会に存在しない作品まで動員して炎上を煽るとは姑息に過ぎよう。

 

トリエンナーレ実行委は2日、記者会見を開き、「安倍首相や菅官房長官を侮辱する作品の展示」は「誤報」とする公式見解を発表したそうだ。仮に政府首脳を揶揄するような作品があったとしても、問題には値しない。権力者への風刺が堂々と公開され、その存在を否定しない社会は健全な証拠といえる。多様性を認める寛容さを失う方が恐ろしいのだ。

 

アートの展覧会に賛否両論は付きものである。賛否が五分五分になれば、その企画は当たり。賛成も反対もない無反応の場合は、つまらない展覧会で失敗といえる。しかし、芸術祭の事務局に抗議の電話やメールが殺到。中にはテロ予告や脅迫もあり、圧力に屈する形で展示は3日間で中止になったという。市長、官房長官、右翼の街宣車ネトウヨらの連携により、「表現の不自由」が完結したとは皮肉である。

 

大村知事は会見で「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」とした脅迫FAXや、県職員個人への誹謗中傷が相次いでいることを挙げ、

 

「こういうことがあったと、多くの国民の皆様に感じていただければいいんじゃないかと私は思っています。私が威勢のいいことをいうことよりも、こういう事象があったということを、多くの方に知っていただくということではないかと思います」

 

と締めくくったそうだ。知事と市長の対応のギャップが凄いが、関わった政治家は鼎の軽重が問われた自覚があるのだろうか? 

  

 「ふだん隠蔽されている社会の暗部を可視化するのはすぐれて批評的な行為です。今回の愛知の出来事で、日本の暗部が深くかつ広範囲に可視化されました。嫌な話ですけれど、日本の暗部がこうして白日の下に晒されて、僕たちの住んでいる社会の実相を開示されたのは批評の手柄だと思います」。(内田樹

 

 【付記】

 5日の報道では問題の作品が置かれた展示室のみ閉鎖。作品は仕切り壁の向こうにそのまま置いてあるという。

 

 8日未明の警察の発表によると、慰安婦を表現した少女像について「大至急撤去しろや、さもなくば、うちらネットワーク民がガソリン携行缶持って館へおじゃますんで」などと記した文書をファクスで送った犯人が逮捕された。愛知県在住の会社員の男(59歳)とのこと。コンビニからファックスを送れば身元が隠せると考えた還暦間際の男は、店舗の防犯カメラや近隣の防犯カメラによって、自分の姿が記録されている自覚がなかったようだ。

 

 

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楽譜に書かれた音符もこういう動きになる?

太陽系の惑星の動き。少し離れて眺めるとこうなるとは気付かなかった。そこで連想したのが楽譜に記載された音の高低。上下移動の印象を受けるが、時間軸を加えると線形の軌跡を描いて流れてゆく。回転する惑星が手前に来ると強い音、向こう側に行くと弱い音みたいな。

 

 

 

 

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弦楽四重奏#7

毎月1回練習している平日弦楽四重奏団の7回目の練習日だった。今日はヴィオラさんが欠席で3人での合奏。ハイドン弦楽四重奏曲第76番「五度」の3回目である。前回同様、第1楽章と第2楽章を細かく見て行った。

 

私が苦手なのは第1楽章の138小節からの4小節。繰り返しの後、2カッコにあるフェルマータの付いた8分休符でカウントを迷い、続く141小節まで遅延しがちなのだ。

 

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ファーストが細かく動いている下で、セカンドとチェロ(ヴィオラも)が半拍遅れて掛け合いをする。チェロとヴィオラは2小節目までは一緒に動くので、139小節の頭はヴィオラの気配に合わせて出ていたが、141小節では食い違うように書かれている。そこもシンクロしちゃったりする。指導者さんは今日はピアノを使って何度か合わせてくれ、最後には正確に合わせられた。ヴィオラが来れば何とかなりそうだが、141小節が危ない予感が。

 

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                                                                                                    ↑ ここのズレが・・

 

第1楽章に何度も出てくる5度のテーマを弾く時は開放弦を使った方が良いらしい。音の頭をくっきり際立たせることが出来るから。5度のテーマは、ほとんどノンビブラートになる。他パートもそういう弾き方をした時、同じテーマが絡まりあう瞬間は不思議な響きになっていた。モーツアルトのジュピター交響曲の終楽章で聞こえてくる天上界的な雰囲気を感じる。

 

その他、フォルテ指定がある部分では音の立ち上がりをくっきりと鮮明にする必要があるが、同時に伸びやかさ、音の広がりも忘れずにという注意も受けた。強奏するために弓圧を加えすぎると音が締め付けられ、苦し気に聞こえるから、弓圧より弓の長さのストロークを活用する弾き方を選ぶということ。あちこちのクレシェンド指定のところも同様。

 

8月25日の本番では、時間の制約があるため第1楽章をだけを取り上げる。今回は公開演奏の前の最後の練習だったが、いろいろ注意してもらった箇所を反芻しながら1か月後の本番に備えようと思う。

 

午後1時からの四重奏の練習開始の前、午前9時半からピアニストに来てもらいヴァイオリン演奏でのシューマン「3つのロマンス」とショスタコーヴィチ「5つの小品」のピアノ合わせを12時半までやった。シューマンショスタコも8月25日の都心での演奏会で披露する予定なのだ。今日はチェロとヴァイオリンを車に積んで持っていったが、大荷物なので手持ちでの移動は短距離でも大変だった。本番に両方の楽器を持参するなら車での移動となるが、空いている駐車場を探せるかどうか。あるいは誰かのヴァイオリンを借りて弾くか。

 

今日はヴァイオリン、チェロの順で延べ6時間弾いた。長い時間弾き続ける習慣も気力もないため、ハイドンの最後の通し演奏では集中力が続かなかった。毎月1回の弦楽四重奏の練習に、それとは別のメニューを組み込むスケジュールは無理があった。ショスタコは2本のヴァイオリンとピアノの曲のため、もうひとりのヴァイオリン奏者が来るのはこの時しかないためだが、それも今回が最後になるだろう。

 

  

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田園地帯の弦楽合奏#36

7月2度目の定例練習日。ファーストヴァイオリン5名、セカンド5名、ヴィオラ2名、チェロ1名、コントラバス1名の14人が出席した。

  

基礎練習はいつものオリジナル曲とヘンデルの「水上の音楽~No.2 Adagio e staccato」。休憩後は4曲を練習。

 

①Mozart Divertiment No.1  K.136. ~2nd mov

白鳥の湖より「情景」

サザエさん

④にじいろ

  

モーツアルトでは私はセカンドを担当した。休符のところで数えず落ちる人が。そこで休符になると指導者が「タラ・タラ・タラ・タラ」とつぶやく。その声を聞きながら演奏を進めて行った。

 

付点二分音符などの長い音を弾く際に、途中で弓が足らなくなり音が途切れる人がいるため全弓を使うよう注意があった。

 

今日は繰り返しの前までで終了。セカンドヴァイオリンのパート譜は中間の繰り返しの後、しばらく分散和音が連続する。音程が取り難い35小節はフィンガリングを提案しておいた。次回取り組む時に指がもつれずに弾けますように。今回は第2楽章のみだが、セカンドを十六分音符の嵐(?)が襲う第1楽章もやってみたい。

  

次のチャイコフスキーの「白鳥の湖」は私はファーストに復帰。セカンドの皆さんがディヴィジで刻みを弾く場面で、低音側担当の二人がさっぱりなので、指導者がかなりの時間を割いていた。楽譜を見るとちょっと嫌らしい音程である。

 

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指導者が模範演奏を聞かせたり、一緒に弾いたりしてかなり粘っていたが、何度繰り返してもうまくゆかず徒労という感じだった。正確にリズムを数えるのが苦手なご様子。音程を気にするとリズムがお留守になり、リズムに気を取られると音程まで手が回らないのかも。レイトの高齢者にとって、同時進行で両方を処理するのはハードルが高そう。

 

サザエさんは今日で終了した。エイトビートのは尻上がりに強く弾くポイントを押さえておけば、それなりに恰好が付く。

 

「にじいろ」は2014年のNHK朝ドラ「花子とアン」のテーマ曲とのこと。歌曲を弦楽器で弾くと、歌詞に割り振られた細かい音の羅列を辿ることになり弾きにくい場合があるが、この曲もそんな感じ。歌詞を全然知らないから、なおさら。

 

 

 

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城下町の弦楽アンサンブル #2

城下町を拠点にしている弦楽アンサンブルの毎月1回の定期練習に参加した。私が出るのは先月に続いて2回目。コントラバスヴィオラの2名が欠席し、7人での練習となった。来年5月の演奏会(全部で13曲)の曲目から7曲をさらった。「ラデツキー行進曲」以外は今回が初合わせとなる。

 

 

私は第1ヴァイオリンのトゥッティを担当している。ヴィヴァルディ「夏」とヘンデル「水上の音楽」の2曲が難しかった。ヴィヴァルディは32分音符が連続する箇所を速く弾かねばならず、来年の本番までにどれだけ速度を上げられるかが課題である。 

 

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ヘンデルは8分音符の連続箇所で移弦を滑らかにこなすのが課題。シンプルな曲だから粗が目立ちやすい。またCis,Fisの音程が甘くならないよう注意も必要。 その他の曲は問題なかった。

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この団体はヴァイオリン5名、ヴィオラ1名、チェロ1名、コントラバス1名、クラリネット1名という編成で、一人がソロを弾く場合は第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンは2名ずつになる。ヴァイオリンのどちらのパートにもレイトさんが一人ずつ混ざっている。大人になってからヴァイオリンを始めたと思われるご両人は頑張っておられるが、演奏が多少不安定で、時々音程やリズムが怪しくなるのはしょうがない。少人数のアンサンブルのため、トゥッティでも音を間違えると目立つから大変だ。

 

今、練習している13曲は来年5月の本番用だが、それとは別に今年11月に県内の観光地にある公共施設で演奏会をすることになったという。この5月の定期演奏会で披露した「春の歌」「星に願いを」「ソングオブライフ」「軍隊行進曲」「ヴィヴァルディの春の1楽章」「海の見える街」「秋桜」「バッハのドッペルコンチェルト2楽章」、「カール・フィリップエマニュエル・バッハのシンフォニーハ長調」「花は咲く」を演奏するという。私にとっては全部新曲である。定期演奏会の課題13曲に加えて、いきなり10曲も加わるとは。

 

 

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「ベートーヴェンは凄い 2019」のチケット

東京文化会館で毎年大晦日の午後1時開演、元日の午前0時直前に終演する長丁場な演奏会「ベートーヴェンは凄い」のチケットが7月13日に発売された。 ベートーヴェンの全交響曲9曲を一挙に演奏するオケは、NHK交響楽団有志にフリーの演奏家を加えた団体。指揮は炎のコバケンさん。かつては岩城さん、あのロリン・マゼールが振った年もあった。

 

午前10時発売開始だったがネットが混みあってしばらくは接続できず。もたもたしているうちに安い席から完売に。PC画面で音がよい5階席(C席8000円)を探していたら、みるみるうちに席が売れて行くので焦った。ラッキーなことに5階最前列の席が取れた(座席のすぐ横が通路の席。出入りを考えると列の端がベスト)。9曲をこの値段で聴けるのは、トヨタをはじめとする大手企業のサポートのおかげである。音楽のお年玉だろう。

 

チケットの値段が高くなるほど1階平土間の中央や2階といった低フロアになる。しかしあのホールはドライな音響のため、その辺よりも5階の方が残響がいくらか乗って音に潤いが加わってよいのだ。1階のチケットを買っていても5階が空いていれば、そちらに移動する人もいるくらい。私は昨年まではネットオークションで、12月に出品されるチケットを購入していたが(定価の2.5倍で毎年同じ人から購入)、今年は好みの席を選べてよかった。

 

夜になって再度チケット売り場をのぞいて見たら、すべての席がほとんど完売に近かった。一度行くと毎年行きたくなるから固定ファンが多いのだろう。毎年来ているというお客さんの話を去年も聞いた。長めの休憩時間に廊下でワイン片手に軽食をつまむご夫婦とか、割と多く見かける。普通のお堅い演奏会とは雰囲気がちと違うのも、あの演奏会ならではの面白さである。

 

私は3年前に初めてこの演奏会に行ってから、ベートーヴェンを聞きながら年越しするのが恒例化した。演奏者は気力と体力の勝負になる。N響コンマス・マロさんをはじめ弦楽器奏者は出ずっぱり。チェロのトップは藤森俊介さんだ(毎年、ありがとうございます)。コバケンさんも気合い十分。合唱団の皆さんも深夜0時近くまで歌う。

 

13時から24時までの出番なんて、お仕事と割り切って出来る演奏会じゃないだろう。意気に感じるというか、舞台も客席もベートーヴェンに鼓舞され、新年に向けて元気をもらって帰るイベントなのだ。一期一会の高揚感に包まれる演奏会は、そうそうあるものではない。大晦日の夜は電車が終夜運転するから足の便も何とかなる。今年も元気に12月31日を迎えられますように(もう年越しの話題になるとは、時が経つのは早い)。

  

 

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