チェロ退院

金属製ミュートを装着したまま横転事故を起こして工房に入院していたチェロが戻ってきた。

深くなり過ぎた駒溝の調整と、F孔付近にあった割れ(古い傷で裏側に貼ってあったパッチが剥がれそうになっていた)の再接着をしてもらった。

さっそく音を出してみたが、妙におとなしい。特に横転事故で駒溝がダメージを受けたD線がこもる。いままで低音側の弦2本はスピロコア、高音側2本はヤーガーを張っていた。この弦の使用を開始してから8か月、そろそろ寿命なのだろう。

ということで、D線とA線をヤーガーの新品に張り替えたが、まだすっきりしない。どよ〜んと曇った音が出る。そこで、弦をヤーガーからスピロコアに交換してみた。

スピロコアのDとAは金属的なシャリシャリ感・ブリブリ感が目立つので、あまり好きになれない音なのだが、今回、楽器が寝ぼけ気味になって戻ってきたから、ブリブリと派手に鳴る弦は相性がいいかもと予測。結果は確かにいい感じになった。

そうなると今度は低音側の2本の音が曇り気味に聞こえる。こちらも賞味期限切れということで4本ともスピロコアに張り替えた。

スピロは芯が金属の弦だが、8か月も使っているとかなり劣化は進むようで、新品は倍音の豊かさや鳴りっぷりが違う。ちょっと金属臭があるけど、メリハリがあってよく響く音が出る。

ヤーガーやラーセンのような、しなやかな甘い音は期待できないが、硬派で音の線が鋭く出るスピロコアも悪くはない。あまり色気は感じないが、古武士のような気骨ある雰囲気の音色といえようか。楽器内部での残響が増えているので、この弦のブリブリ感は慣れれば気にならない。

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