「カザルス巻き」という方法

秋の晴天が続くと空気が乾燥する。湿度が下がると楽器は収縮。ペグは緩くなってピッチが変動する。そんなわけで、相当にピッチが狂ったG線の調弦をしていたら、隣のC線まで突然に緩み、ペグがポ〜ンと飛び出した。弦の巻きが急激にほどけた勢いで、そのままペグボックスから抜け落ちた。足元が絨毯敷きでよかった。床材の種類によっては、ペグが欠けたかもしれない。久し振りにペグコンポジション(クレヨンみたいな形状の潤滑剤)を取り出して、ちょいちょいと薄く塗ってやった。コンポジションを使えば、ペグはしっとりと回って確実に止まるようになる。

湿度が変化しやすい時期にはウルフも出やすく、楽器のご機嫌がよろしくない。弦の鳴り方にムラが生じ、それがなかなか収まらない場合は、奥の手として「カザルス巻き」という方法がある。

カザルスは言うまでもなく20世紀を代表するチェリストの名前。低音側のC線とG線を巻きつけるペグの位置を逆にして張る方法を「カザルス巻き」と呼ぶのだそうだ。私は1年ほど前、あるチェリストのブログで知った。
http://ameblo.jp/miyakevc/entry-11027681767.html

やってみるとG線とC線の発音が変化し、バランスが改善される場合がある(そうならない場合もある)。C線の上ナットからペグまでの距離が長くなり、逆にG線は最短化するわけだが、これだけのことが音に効いてくる。 ウルフ退治に手こずるとか、C線、G線の鳴りがいまひとつと思う時は試してみる価値がある。





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