発表会、終わる。

駅前の小さなイベントスペースでの発表会が無事終わった。 お客さんは30名ぐらいだったろうか。 客席までの距離は2m程度。狭い場所だった。雑居ビルの最上階にあって、天井も低く音響的にはデッド。リハーサルで弾いた時、自分のチェロの反響音を聴くことは出来なかった。

弾くそばから、砂漠に水を撒くように、音が吸い込まれて消えて行った。どういう聴こえ方をしているのか、さっぱりわからない。 他の人の演奏を聴くと、伴奏ピアノの音にかき消されることなくチェロの音が明瞭に聴こえた。たぶん、私の音も伝わっていたのだろう。

ブレヴァールのソナタハ長調。第1楽章のアレグロは、ノーミスで弾きとおせた。アレグロは2月の発表会で演奏済だったから、まあ、そんなものでしょ。

第2楽章のロンドを舞台で弾くのは初めてだった。前半までは順調で、いい調子と思っていた。しかし、後半、いつもは弾ける箇所で左指がもつれ、弓順も逆になってしまった。あれ〜? ってな感じ。瞬間的に止まったりはしなかったが、演奏に戸惑いが出たのは隠せず、聴かせどころの十六分音符の連続部分はシラーっと通過。ゴリゴリ弾いて迫力を出すはずが・・イマイチ、と思いながら、持ち直して終結部はしっかり決めた。全体的にはまずまずの出来だった(と思う)。

今回の会場は響かないのを承知していたので、音色がシャープで音量が出る新作弓を使うことにし、メインのフレンチ古弓は持参しなかった(響く会場ならオールド弓でそっとなでるように弾くだけで、音が飛んでゆく)。直前の練習で剛弓2本を弾き比べ、聴いていたM氏が、跳躍音形での歯切れがいいという端麗辛口のロン・デイ・マ銀弓を選んだ。 後半プログラムの合奏曲「風の名前をおしえて」では、まったり甘口のメーニッヒ金弓を使用してみた。とろりとした甘い音色で歌えた(と思う)。

個人演奏の順番はくじ引きで決めた。私は2番目。さっさと演奏を済ませ、後は見物するだけ。気楽なものである。なので、途中からステージマネージャーみたいに、暗譜で弾く人の時は譜面台を下げたり、椅子の座面の高さをそれぞれに応じて調整したり。何人かの人には「オマジナイ」といって秘蔵松脂の缶ベル(100年前のヴィンテージ・ロジン)を弓毛に塗って差し上げた。缶ベルの効果はテキメン。音量がぐっと豊かになっていた。

合奏の「アンダンテ・フェスティーヴォ」「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ではバイオリンも弾いた。見事なことに、チェロ軍団の分厚い音の壁が出来ていて 、バイオリンの音量でバランスさせるのはしんどかった。事前にチェロは音量を押さえてとお願いしておいたのだが。本番で興奮状態の皆さんは、バンバン弾いていた・・・(ため息)。それはともかくも、チェロを始めて1年の方々が、ソロではいろいろな事故もあったが、合奏ではしっかりチェロの音を出していたのは素晴らしい光景だった。

グループレッスンに参加し、チェロ友がいっぱい出来たのはうれしいことである。横のつながりがない個人レッスンでは、そういう知人は出来ない。

次の発表会は、8月17日(土)。県内にある小ホール(240席)での演奏。 私はブレヴァールをリベンジする予定。今年、3度目の発表会になる。


パンフレットの表紙の似顔絵は、メンバー美大卒の女性が描いてくれた。スクーターに乗っているのは、ご指導いただいているS先生。




にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村