プチ発表会

16日は40代でチェロ始めた人たちが集まるグループが主催する毎年夏の恒例行事「プチ発表会」に出て弾かせてもらった。今年で5回目だそうだ。今年はソロ演奏は少なくて8名。4名での合奏が一組あったので、合計10名が参加した。他にピアノ伴奏の先生などが参加された。

わたしはチェロ4重奏でゴルターマン「レリジオーソ」を弾き、ソロはバッハの「アリオーソ」、スクワイア「ダンス・ラスティック」ノ2曲を弾いた。先に演奏した4重奏は、きれいにまとまった演奏が出来た。メンバーが何度も集まって練習を重ねてきた特訓の成果である。

わたしはこれで十分に満足してしまい、自分のソロ演奏では集中力がイマイチ散漫となった。テンションを維持するのは難しいものだ。直前のピアノ合わせの時にはちゃんと弾けた箇所を間違えたりして、毎度ながら本番でノーミスの演奏をするのは容易ではない。2曲を弾く機会がある場合は、先にソロを弾かせてもらい、合奏は後にするのが無難かもしれない。

ミスを回避するにはテンポを遅くすればいいのだが、それでは音楽が要求するスピード感から乖離し、フォルムが崩れた演奏になってしまう(発表会にはこれが多い)。多少の小傷には目をつぶっても、適正なテンポで弾かねばならない。

伴奏ピアニストの先生は、バッハはわたしの希望より速め、スクワイアは逆に遅めのテンポで付けてくださった。バッハはともかく、スクワイアは、リハーサルと同様の快速テンポで走った方が、むしろ指が滑らかに回ったかもしれないと反省。

楽器はオールドチェロを持参した。 ホールで弾く機会はめったにないので、このチャンスにいろいろ実験をやろうと思い、エンドピンは2本持っていった。4重奏ではタングステン・チタン・真鍮・カーボンの4種類の複合素材製(見附精機のクアルテット)を使い、ソロでは中空カーボン(Bogaro&Clemente)に差し替えた。

ずしりと重いクアルテットは豪快で大きな音が出るエンドピンである。これを装着するとハードセッティングになり、微細なコントロールが難しくなるからソロに使うのは避けた。中空カーボンのエンドピンは軽やかでマイルドな発音が得られるものの、音量はやや小さくなる。そういう2種類のエンドピンの特性を、曲ごとに使い分けてみたのは面白かった。

弓は4重奏では剛弓(大きな音が出る)新作弓を使い、ソロ演奏ではニュアンスの豊かさが売りのフレンチモダン弓を選んだ。細かい動きが多いスクワイアでは腰が強力な新作弓を使いたかったが、バッハのアリオーソでしっとりした音色が欲しくて古い弓に決めた。キャラが大幅に異なる曲を連続演奏する場合、音色か喰い付きかの二者択一となると、弓の選択は悩ましい。両者の要素を兼備した弓となると、目の球が飛び出るほど高価になってしまう。

会場のホールは、舞台上はデッドで響かず、自分の楽器の音が弾くそばから消えてしまい不安になった。しかし、客席で聞くとそこそこウエットな残響があり、舞台上より明瞭にチェロの音が聞こえた。つまり舞台で響きが聞こえないからといって、ガンガンと弾いて大音量をひねり出す必要はないのだ。こういうホールの音響特性を計算しておかないと、無理をすることになり、それもミスを誘発する原因の一つになる。舞台で弾く機会を得ると、いろいろ勉強になる事が多い。

このプチ発表会は主宰者のご家族総出で裏方仕事を担当してくださるので開催可能なイベントである。毎年、開催していただき、ありがたく思っている。




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