お盆休み中の発表会

今年で4回目となった夏の恒例行事(40代でチェロを始めた人たちの発表会)に出させてもらった。 昨年に続き私は2度目。前回は合奏のみの参加だったが、今回はソロを弾いた。

相模大野駅前のグリーンホールを借りてのイベントで、レイトのマアチュアがホールの舞台でプロのピアニストの伴奏付きでソロを弾ける貴重な機会を提供していただいている。 主催者とそのご家族、お知り合いのみなさん、さらに無償でピアノ伴奏を引き受けてくださるF先生の尽力なくしては実現しない会である。

今回はソロが7名で、2重奏と4重奏のグループ演奏が加わり、合計11演目となった。ギターとチェロの2重奏も2組あり、片方はエレキギター使用で、小鳥のさえずり音も加え、ジブリラピュタ」の音楽をやった。あの映画を見た人なら、情景が目に浮かんでくるような演奏だった。

もう一方は普通のギター(プレミアムがついて時下500万の値打ちがあるというから、もはや普通のギターじゃない)の伴奏で、ブルグミューラーの「チェロとギターのノクターン」が披露された。ブルクミュラー( 1806年〜 1874年)といえば、日本では入門期のピアノ教則本「25の練習曲 Op.100」で知られるドイツの作曲家だが、とてもチャーミングなメロディにあふれた佳作を聞かせてもらえた。伴奏ギターが奏でるエレガントでまろやかな音色と、チェロの女性的な肌理の細かい演奏がきれいに調和し、なかなか見事な聞きものだった(ギターを弾いたR氏はチェロも持参し、合奏に参加されていた)。

私は10番目でブレヴァールのハ長調ソナタを弾いた。昨年9月に個人レッスンでこの曲に取り組んで丁度1年の節目となる。今回は卒業検定のつもりで弾いた。しかし、最もミスが少なかったのは、一昨日のピアノ合わせの時で、その録音を打ち上げの2次会で聞いたら、失敗せずにスムーズに流れていて、自分の演奏とも思えない。

それに比べて肝心の本番は・・・本番では練習時の6掛け程度弾ければいいらしいが、まさにそんな感じになった。私はステマネの補助をしていて、譜面台を運んだり、椅子の高さを調整したりと、それぞれの演奏が終わるごとに舞台に上って作業をしていたのだが、自分の時もそんな作業をしていて、アナウンスがある前に、すでに舞台上に居た。本来ならアナウンスがあってから、舞台の袖からしずしずと登場する段取りだが。一度、袖に戻ればよかったが、出たり入ったりするのも妙な感じで、そうしなかった。落ち着かないうちに、パッと照明が強まり、まばゆいスポットライトを浴びたら、脳内の暗譜情報が一気に初期化(?)してしまった。

今回の発表会では、ピアノ伴奏のF先生が弾くのはショット版で、一部にスズキメソード版を採用した編曲譜。ソロを弾く私はスズキ版で練習してきたが、直前になってショット版を拝見し、一部、スズキ版にない音符を加味したり、弓順を変更したりと、1年間弾いてきた記憶を上書きする変更を行ったのがよくなかった。念のため譜面を用意して弾いたが、直前の修正部分は頭に入ってないため、ほとんど弾けずにスルー。結局、スズキ版で弾く結果となったものの、混乱だけが残った。

ピアノ伴奏の方も、譜面めくりのアシスタントが繰り返しの指定箇所で(繰り返し無しと勘違いし)譜面をめくってしまい、F先生があわてる場面も出現。そんな事故がいろいろ起こったが、大きな音量と快速テンポだけは死守(?)して最後まで元気よく弾き切った。

会場のグリーンホール(多目的小ホール)はデッドな音響で、舞台で弾いている奏者の耳には反響音が聞こえてこない。弾くそばから楽器の音が虚空に吸い込まれてゆくようで、不安になる。一方、客席で聞いていると弱音で弾かれたチェロの音も、ピアノにマスキングされずに明瞭に聞こえていた。ということは、気張って音量を出さなくてもいいわけだが、いざ本番となると砂漠に如雨露で水を撒くような心境になってしまい、ついつい頑張って固くなってしまった。

弓は上海製のロンディマ(シルバー)と、ドイツのメーニッヒ(ゴールド)を持参し、リハーサルの時に2本を使い分けて客席にいるIさんに聞いてもらった。結果は圧倒的にロンディマの音が良かったそうだ。「ご自身でも結果はわかっているでしょう」との講評だった。確かに私もヘビーなメーニッヒよりも、操作性に優れるロンディマの方が弾きやすいと感じていた。というわけで、6月にやった発表会に続いて、今回もロンディマを使うことにした。メイン弓のヴィネロンは柔らかいので、音量が欲しい時には新作剛弓に目が行ってしまい出番がない。

ピアノのF先生の御嬢さんが譜めくりを手伝ってくださったが、私の演奏は大きな音が出ていたと、打ち上げの席で言って下さった。粗さを承知の奏法を好意的に解釈してくれたようだ。私の前の出番の人たちが女性続きで、穏やかな弾き方をする人が多かったから、パワー優先の弾き方が目についたのだろう。ブレヴァールの曲は、カチャカチャしたメカニカルな感じで、甘いメロディをこってりと歌い込むようには出来てない。メンデルスゾーンの「無言歌」、ブロッホ祈り」、ショパン「ワルツ・イ短調」と、しっとりと歌う曲目が続き、その後にブレヴァールである。ブレヴァールの次は麗しい「白鳥」と「鳥の歌」だったから、まずますガサガサした性格が目立つことになった。

打ち上げ会場の出口の階段から転げ落ちた人とか(使ってない階段を物置代わりにしていて、傘立て、看板などの什器類が置いてあった所に転落。ガシャ〜ン、ガラガラと、すさまじい音がした)、その直後、歩道を歩いていて、おばさんが運転する自転車にぶつけられ、メガネを落として割った人とか、最後になって予想外のアクシデントが続いてビックリだった。来年の8月16日に第5回を開催するため、もう会場を予約したそうだ。ありがたいことである。


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