大雪の後の発表会

昨日までの大雪から一転して晴れた日曜日の午後。横浜市内のK公会堂で開催された発表会で弾いてきた。会場は講堂という名前の小ホール。楽屋はない。舞台の袖のスペースもなきに等しい。音楽会をやるにはバックヤードが貧相だったが、音響は悪くなく、去年の会場のT公会堂よりは響いた。自分の楽器の反射音が聞き取れたので弾きやすかった。

私の前に同じ曲=ヴィヴァルディのソナタを弾いた人が2人いた(連続して3人が登場して同じ曲をやったわけでない)。最初に弾いた女性は先生の伴奏付き(=2台のチェロが同じ曲を弾く)だった。2番目の男性はひとりで弾いていた。目立つミスもなく上手に弾いておられたが、時折、フレーズのぶつ切り現象が出て、第1楽章で音が意味なく途切れる瞬間が目立ったのは惜しかった。

3番目の私の演奏は、練習成果の半分ぐらいしか出せない出来。毎度ながら、ステージでは緊張するから、そんなものである。客席で聴いていた知人は、私の直前にエックレスのソナタを弾かれたA先生と、音量面では遜色がなかったといっていた。確かにバリバリと雑音が混ざるのもいとわず弾いた。客席には雑音成分はそれほど届いていないようだった。

今回、弓はロンディマとアルシェ(30周年記念弓)を持参した。ソロ演奏の前に全体合奏が2回あったので、両方を交互に使って比べてみた。アルシェを買う前は、一番シャープだったロンディマも、アルシェに比べたらふっくら、まったりと感じられた(1割増量した毛替の影響もあるだろう)。なので、ソロでは音が前に出るソリスティックな傾向が強いアルシェを選んだ。

アルシェは細身の角弓。細い割にズシリ感がある。まろやかにふっくらと響くのではなく、焦点がカッチリ絞られる傾向がある。鮮明さが際立つので、狭い室内では尖り過ぎてどうかと思うこともあるが、広い会場では音の通りはいいようだ。より高価な弓(ヴィネロン、フックス、メーニッヒ、ロンディマ)と互角以上のパフォーマンスを発揮するから、今までの投資は何だったのだろうと思ってしまう。

打ち上げの席で、A先生(御嬢さんの方)のお弟子さんは、一様に音量が出ていたと褒めた人がいた。 A先生のお父さんのお弟子さんのグループと一線を画しているのだそうだ。その話をそばで聞いていたA先生は、うれしそうだった。

今回の発表会では、11日のピアノ合わせの会場での帰り際、リハーサル室の後ろの狭いスペースで楽器をしまった時に、松脂を入れた布袋を落としてしまった。中身はヴィンテージロジンの缶ベル。会場のKホールに問い合わせたが落し物はないとの回答。お教室の先生にもそういう拾得物の話は来ていないという。どこに消えたのだろう。



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