ベト7の譜読み

チェロのグループレッスンは、まもなく満2年になる。グループレッスンの主催者である地元アマオケから、来年(2015年2月1日)の定期演奏会への参加募集があった。時期尚早ではあるが何人かのメンバーがエントリーし、私もお付き合いすることになった。

曲目はセビリアの理髪師序曲、ラロのスペイン交響曲ベートーヴェン交響曲第7番。

オケの方でパート譜を注文してくれたものが届いて、先週の土曜日に配布された。べト7は、はやりのベーレンライター版ではなく、オーソドクスなブライトコップ版だった。ベト7はバイオリンでは何度か舞台で弾いている。今回、届いたパート譜を眺めていて、チェロがずいぶんと地味な仕事を続けているのを知った。メロディと呼べるものを弾くのは、第2楽章のテーマの一節だけ。他は単純なリズムの刻みを延々と繰り返している。華やかなバイオリンパートとは大違いである。

CDでチェロの音がはっきり聞こえるものとなると、カラヤンが1959年にウィーンフィルと録音したデッカ盤が思い浮かぶ。24ビットのリマスター盤は極めてクリアで分離がよく、今は失われたゾフェインザールでのセションの優秀さがよく分かる。この時代のカラヤンは、後年の熟女の深情けみたいなお化粧過多傾向はまだないし、ボスコフスキーコンマスだった当時のウィーンフィルも、ローカル色が濃厚でいい味を出している。とはいうものの、こういう名演奏はテンポが速いから、教材にするには、ついて行けないもどかしさもある。

そこで奥の手のCDを久しぶりに取り出した。マキシミアンノ・コブラという名前の指揮者の録音。コブラは知る人ぞ知る異色の存在である。この人は、「古典派時代の指揮法は現在と違って、タクトの一往復をもって一拍と定義していた」という「テンポ・ジュスト」という学説に基づいた演奏をやっている。どの曲も現在の標準的なテンポの2倍に演奏時間が伸びるため、ベト7は80分を超過。CDは2枚組になっている。

あまりに遅い演奏を要求するので、オケに嫌われたのだろうか?初期の録音はブダペストあたりの生オケを録音に使っていたが、その後はシンセサイザーに切り替えてしまった。ベートーヴェン交響曲全集では、途中の曲から電子音に変わっている。

それはともかく、アマオケで弾くための譜読みをするには、コブラの超スロー演奏は、まことに具合がよい。普通のテンポでは、よく聞こえない内声部の細かい動きも鮮明に聞こえるし、CDに合わせて弾くこともできちゃう。いきなり聞くと、あまりの遅さにスッコケるが、慣れれば、これはこれでアリかもと思えるところもある。ちなみにこの指揮者のCDでは、モーツアルトのレクイエムが突出した出来で、悪夢のようなオドロオドロしさを見せている(生オケと生コーラスを使った録音)。



You Tubeにあるベト7の演奏はブラジルのオケとの初期のライブ録音(1993年)。テンポは遅めの設定ではあるがまだ普通。後年のシンセサイザーによる劇遅CDの異形は現れてない。

http://http://www.youtube.com/watch?v=xFC_bKcoxPk&feature=share&list=PL8CEA71CDB8CD6086BEETHOVEN Symphony No. 7 - Maximianno Cobra - All four movements - HD VIDEO - YouTube



にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ