グループレッスン有志の自主連 その2

明後日に迫った発表会のための特訓をやった。昨日に続いて2回目。私がメンバーのお宅に伺ったのは17時ちょっと過ぎ。昨夜は20時過ぎに来られた最年少の女性が、もう来ていたのでビックリ。仕事関係の出先を回って直帰にして、こちらに来たそうだ。彼女は高校時代に3年間チェロを弾いていたという。1年前にグループレッスンに参加して復帰したのだった。道理で他のメンバーよりも弾けるわけである。

家主さんと3人で音出しをしていたら、18時ぐらいに特訓常連のM氏が奥さん(地元オケで管楽器を吹いている)と一緒に現れた。彼の仕事が終わるのは18時。職場からこちらまでは1時間はかかる。今日はあまりに早く来られたので驚いた。やりくりなさったのだろう。皆さん、発表会直前なので、気合い十分である。20時過ぎには自主連初参加の女性メンバーも来る予定だったから、それまでは個人発表曲を中心に弾いていた。

バッハの無伴奏組曲第1番プレリュードを弾くM氏は、音量も出ていていい感じ。惜しいことに、曲の最後の重音がかすれて悲しげだった。低弦2本を同時に弾く時は1本の弦を弾く時の2倍の圧力をかけて弾き、反対に高弦2本を同時に弾く時は、1本の弦を弾く際にかける圧力の半分の強さに絞って柔らかく弾いてやる。そうすると重音がきれいに響く。グループレッスンの最初の頃にS先生から教わったポイントを思い出してもらったら、すぐにきれいな重音を弾けるようになった。彼を3か月悩ませた問題は、とりあえず解決。

映画音楽の「ウヲアイニ・アラベスク」を弾いた若手女性は、3拍子の拍節感が弱くて曖昧なところがあった。ロボットみたいに縦のリズムを機械的に合わせるというよりも、ワルツでも踊るような調子で、ゆったりと体を揺らすような横方向へのリズム感で歌うといいだろうとM氏夫人から提言があった。ごもっともである。ここで楽器を交換し、M氏のチェコ製チェロを若手女性が弾いてみることに。芯がしっかりしているが硬くはなく、みずみずしい鮮やかな音が鳴り響いた。チェコ・フィルの弦の濡れたような艶やかさを連想させる雰囲気。一方、所有者が弾くと、甘くて柔らかくて、若干粉っぽい音色になる。黄な粉をまぶした餅菓子みたいなイメージ。乙女座の心優しい偉丈夫と本物の乙女では、かなり違う音を出すものだ。

その後、私はいつものブレヴァールのソナタを弾いた。今日は雨天で湿度が高かった。楽器もベタついて湿っぽい。そんな状況で、テヌートを効かせ、じっとりスベスベのブレヴァールをやってみた。これが案外いい感じで、ロンドの難所(十六分音符の集合箇所)もスムーズに弾けた。本番もこの調子で、ベタ弾き路線でやってみようと思った。

休憩の後、遅参予定だった女性も到着。21時過ぎから「アヴェ・ヴェルム・コルプス」「アンダンテ・フェステーヴォ」をやった。

ここでの特訓には初参加となった女性は、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」のセカンドチェロの担当だった。セカンドは、ハイポジションの連続で音程が大変である。バイオリンで代用もしくは「オクターブ下げた編曲譜」を使って、楽をしているファーストとは大違いである。いままでセカンド担当のメンバーが参加しない状態で自主練を重ねてきた。きれいに合うようになったと安心していたが、甘かった。セカンドを弾く3名の皆さんには頑張ってもらうしかない。それにしても、自主連に参加してきたメンバーの皆さんは、ぴたりと息が合っていた。一方、初参加の方は、合わせ方に不慣れで、戸惑っているのがわかった。たしかに継続は力なりである。

「アンダンテ・フェステーヴォ」は、自然に向かって祈りをささげる讃美歌のような音楽だというコメントがM氏夫人からあり、皆さん、その説明を聞いてから神妙な演奏をするようになった。音楽が「呼吸」するようになりつつある。楽器を始めて1年ほどの方々が、ここまで来るのだから大した進歩である。

その後も各自が個人発表曲を弾いたりして、本日の特訓は深夜23時でお開きとなった。普通なら、この時間にミュートもつけずに楽器を弾けるものではない。われわれは恵まれている。防音完備の大きな部屋を提供していただいた家主さんには、感謝感謝である。




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