グループレッスン 90

最初にウェルナーの「旋律的練習曲(第6番)」をやった。ファースト・ポジションで弾けるから、そんなに難しいわけではない。予めシャープが2つくっついているニ長調の曲の途中で、臨時記号のフラットやシャープがチラチラと混ざってくる。そのあたりでの音程が取りにくい。正確に弾くと、今度は「オヤ〜っ?」といった不思議な音感が漂う。ウェルナーの教本によくある、ちょっと野暮ったくて屈折した風情なのか。

この曲、後半に8小節間の休符があってチェロはその間お休みとなる。きっとピアノ伴奏譜があるのだろうという話になった。あるいはもう1本のチェロがあって、対旋律を弾く仕掛けなのかもしれない。いずれにせよ、他の音が合わさって、ようやく完成する音楽になっていることが判明した。ウェルナーらしい妙な(?)メロディの進行は、別パートの存在を前提にしている。片方だけ取り出せば、妙なことになってしまうのだろう。

続いて前回もやったセカンドポジションだけで弾く練習曲を復習した。ファースト・ポジションで弾けば、どうということもない譜面であるが、セカンドオンリーとなると???といった感じになる人が多かった。 S先生は「4本の弦のどこをどう押さえると、隣の弦では何の音が横にあるのかを覚えておくと、将来、アマオケで演奏する場には、役に立つはず。なので、よ〜くさらっておくように」とのお話だった。

休憩後、4部合奏曲「ムーン・リヴァー」を途中まで進めた。今日は中間部の現代音楽調(?)の展開部の入り口あたりまで。その辺りでは、メロディを担当するファースト以外のパートは、ゴニョゴニョした伴奏音形を弾くことに徹している。音程、リズムの両方でややこしい動きを要求されるウェルナーの練習曲みたいに聞こえた。

レッスンが終わった後、今日の会場(公民館の音楽室)は1時間の延長使用が可能だったので、12月6日のクリスマスコンサートに出るメンバーに居残ってもらい、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」と「メリー・リトル・クリスマス」を練習した。「ソ・ファ・ミ・レ」という単純な音階(4分音符が4つ並んでいるだけ)で、リズムが転んでしまう人がいたため、マルテレ奏法での練習を実践してみた。一つの音を出している最中に尻すぼみになってしまう悪癖の矯正である。

音の立ち上がりが曖昧で自信なさげ、中間では膨らみ、最後は再び曖昧な尻切れトンボになってしまう人とか、フレーズの最後で力み過ぎて凸凹が出来てしまう人が結構いる。クラシック音楽の演奏は、テープ状というかリボン状というか、頭から尻尾まで同じ幅の音を均一に鳴らすことが前提になっている。このような基本的な考え方は、案外、レッスンの先生からは聞けなかったりする。先生方には常識というか、自明の内容だからだろうか。私はこの話を学生オケで弾いていた当時、指導に来られた年配の指揮者(芸大で教えておられた伊達純先生)から聞いた。話が具体的でわかりやすく、目からうろこが落ちる感じの連続だった。何十年も前のオケの練習場での体験が、まだ鮮明に思い出される。肝的なポイントを的確に教えるのが上手な指導者との出会いは貴重である。


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