グループレッスン 70

今日の練習会場は近隣の市にある女性センターだった。県立の立派な施設だが使い勝手の悪さもあり近々の閉鎖が決まっている。すでにホールや食堂、宿泊施設部門は閉鎖されていた。

板張りのレッスンルームは十分な広さで、1時間の料金は580円。公営施設らしくてリーズナブル。しかし車がないと非常に不便な場所にあるのがネック。立地場所は陸地じゃない海の中の島。施設の利用率が悪くなるのは当然かもしれない。

グループレッスンはいつも9時から会場に入れるため、そのつもりで9時前に到着したら、今回は10時からの予約になっていた。

しょうがないので、島内の散策をしようと外に出たものの、海風が冷たい。センター内に戻って、図書館で藤原真理さんのチェロの随筆本を読んで時間を潰した。

プロでも手の腱鞘炎は避けられないらしい。藤原さんによると、経験を積んだ結果、腱鞘炎になる一歩手前か、寸前で練習を止める見切りが出来るようになったとの記述があった。子供などが腱鞘炎にかかると、痛みが出るのが怖くなって楽器を弾けなくなるケースもある。いつまでも練習を中止するわけにいかない場合は、弾きながら治すしかないと書いてあった

また、桐朋斎藤秀雄先生の教えとして、チェロ奏者は1年間に合計して1ヶ月分はチェロに触らない時間を取るべきだという話があった。無闇に長時間の練習をすればいいわけじゃないということ。筋トレなどでいう筋肉疲労と回復のくり返しによる成長は、チェロの練習でも同じらしい。


10時少し前に鍵をもらってレッスンルームを開いて準備を開始。パラパラとメンバーが集まってきたものの、今日のレッスン参加者は4人だけ。S先生は、このくらいの小人数だと教えやすいとご機嫌が良かった。いつもの10人前後では、人数が多すぎて細かいところまで目が行き届かない。今日は、各人がだいぶ突っ込まれた。

イ長調の音階練習の後、ウエルナーの1,3,4ポジ併用の練習曲をやった。事前にさらっておかないと弾けない難度の曲。3ポジが曲者で、満足に弾けたメンバーはいなかった。わたしはこの頃は楽譜に指番号を記入しないで練習しているが、この曲はダメ。3ポジになると、どこを押さえるのか?こんがらがってくる。さらに最後に重音が何度か混ざるところがあり、一瞬??となってしまう。帰宅後、しっかり番号を書き入れてしまった。ウエルナーは単調でつまらない教本とか悪口をいう人もいる。確かに最初の方はそうだが、この段階になってくると、かなりてごわい。

休憩時間にS先生がそばに来られて、わたしの左手の構え方がオカシイとのご指摘をいただいた。

わたしは個人レッスンのA先生の流儀の構え方でやっていた。A先生からは左手親指をネック裏に常時密着させることを常々言われているため、親指を優先する余り、親指以外の指が不自然な格好で弦に接しているらしい。わたしにはそれが不自然な構えという自覚はないが、S先生には異常に見えるらしい(TVでいろんなチェリストの左手を観察しているが、わたしの構えに似た動作を見ることは時々はある)。「手の形が変なのを個人レッスンの先生から注意されないのですか?」と呆れ顔だった。 個人レッスンでは親指の位置のことは毎回しつこく言われているが、他の指のことは曲げ具合が足りないとか、その程度しか言及されない。

S先生がすすめる弦の押さえ方は、脱力してふわっと指先を広げ、そのまま指板上に被せるようにして弦を押さえる方法。姿勢にまったく無理がない。しかし、この構え方では親指がネックから離れてしまう場合がある。

ところが、S先生は親指の位置にさほどこだわらない弾き方を推奨していて、拡張の時に親指が動いた後、普通の位置に戻す場合も、そんなに親指の位置を意識しなくていいですよと仰る。音程を正確に取るための手段として親指をアンカー代わりに使うのだが、音程さえOKなら親指のポジションに拘泥する必要はないわけだ。

左親指の付け根の腱鞘炎が2ヶ月間続いているわたしとしては、S先生が教えてくださる疲れない奏法でやっていくのがベターのように思われた。





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