クリスマスフェア

ボーナスシーズンを前に楽器屋さんたちはフェアの開催に余念がない。昔から付き合いのある楽器工房からも恒例のクリスマスフェア案内状が届いた。
ジオ・バッタ・モラッシのバイオリン(1977年作)が324万(税込み)だそうだ。半年前に銀座の某有名楽器店に出ていた70年代のモラッシには1000万の値が付いていた。銀座価格とはいえ、ずいぶんな金額で驚いたが、こちらのお店はまっとうな価格を提示している。新旧モラッシ2本の弾き比べが出来るとは興味シンシン。

ということで週末から始まるフェアの下見に行ってきた。モッラシのバイオリン、2013年モデルは、79歳の大御所がクレモナの店を引退してから自宅で楽しみながらコツコツ作った楽器とのこと。細部の削りやニスの塗り方は、はっきり言って雑だった。パフリングも途中で途切れていたし、全体的にヨレヨレの雰囲気がある。歳なので目が悪くなっているためだろうと店主はいう。だが音の方はストレスなく素直に響き渡った。透明感のあるピュアな音が心地よい。かつて、あちこちで散見した新作モラッシは鳴りがイマイチで、こもったような鈍い反応をする場合が少なくなかった。2013年作はそういう不満を感じない。本人が助手を使わず最後までひとりで作った楽器だから、最初からよく鳴るのですと店主がいう。ならば、ちょっと前までたくさん流通していた鳴らないモラッシは、お弟子さんに作らせていたってことか?

次に77年のモラッシを試した。こちらは委託品だそうだ(なので安い)。かなり弾き込んでいる楽器だった。肩の辺りのニスが広範囲に剥げていたし、小さな傷もアチコチにあった。音色は悪くはないが(普通のモラッシらしく=鳴りがイマイチ)煮え切らないので微妙なところ。2013年モデルの方が吹っ切れた鳴り方をする。わたしなら最近作を選ぶかな。




にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村