チェロのレッスン 118 

継続中のバッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」を見ていただいた。最初のプレリュード、次のアルマンドを弾き終わったところで、ずっと強奏になっている点を指摘された。バリバリと弾き過ぎているとのこと。私の念頭にあるのはグールドのバッハである。歯切れのよいリズムでドライな音楽をやっている。あんな感じでやってみたい。無理に強音を出そうとしているのではないが、かなり硬派になっているのは確かである。

無伴奏チェロ組曲」は、特に2番以降になると、S先生でも全曲を弾くとドッと疲れるそうだ。今の私のようにエンジン全開で弾いているとスタミナ不足になるのは必至とのご指摘はごもっとも。自宅で練習していて、全曲を通すと(くたびれて)すぐに繰り返すのは無理である。5月6日にあった内輪の会で全曲を弾いた時も、最後のジーグでは疲労困憊の状態になっていた。 ピアノ伴奏付きの曲ならば、時々チェロが休める場面も出てくるが、無伴奏組曲はずっと弾きっぱなし。疲れるのは当然。

音量変化の配分を考える必要があるとのご意見である。パワーで押すのではなく、響きを重視する弾き方を研究する場合、プロの先生のような柔らかい音質でありながら、しっかりと楽器を鳴らせるボーイングを模倣するのは容易ではない。響かせるつもりでも、鳴っている音はかずれたりする。

また、私の左手を見ておられた先生は、バイオリンの構え癖の悪影響を指摘された。指板に対する左指の曲げ具合の角度がバイオリン的になる癖。チェロでそれをやると無駄な動きが出てくるため、音に余計なノイズが加わるから損なのだ。重音で音階を弾く練習では左手の角度はパーフェクトなのに、曲をやると崩れるのが惜しいとも。重音練習は左手を意識しながらやるから妙なことにならないが、曲を弾いていて、とっちらかってくるとダメ。左手の角度まで気が回らなくなる。毎度のことながら困ったものだ。(左手の角度をどうするかは、先生によって考え方がかなり違います)

3曲めのクーラント以後は3拍子系に変わる。苦手の3拍子。バリバリバッハは難しい。急に守りに入って慎重さが出てくる(苦笑

81小節から移弦をくり返す箇所では、弓の移動幅を最小に抑制するよう注意された。その方が効率はよい。ゴツゴツ感の代わりに小気味良いリズム感が出てくる。サワサワと軽めに弾いたら「言われたことが直ぐに出来るのですね」と先生。細部をどう弾くかのイメージが固まっていないので、指定されれば、そのように。

3年半前、最初にチェロを習った別の教室の先生は、音符一個ずつの弾き方まで、細かく指定してこられた。言われた通りに弾けばOK。自分で考える必要がないのはある意味気楽だが、要求されるように弾けないと、延々と同じ箇所を繰り返すことになっていた。子供用テキストのマニュアルで大人を教えるため、丁寧過ぎるのが鬱陶しくなって教室を変更したのだった。

4曲目のサラバンドは粘り過ぎないよう配慮しながらさらりと通した。5曲目のメヌエット、6曲目のジーグは、シャープが付いているところの音程が低めになりがちなので要注意。4の指の音程も上がり切らない傾向があるから、意識して小指を伸ばす。

先生から私の左の親指が、ネックの下でチョコチョコと動いている点も聞かれた。親指をネックにギューッと押し付けてないとの仰せ。拡張する時は、最初に親指から動かすべしと最初の教室で習ったので、その習慣が残っているためである。過剰に親指を動かしていると腱鞘炎になるから、この頃は、親指のことはあまり意識しないようにしていますとお話しておいた。S先生は、それでいいですとの仰せだった。最後に次回にさらう曲の宿題が出た。久しぶりのドッツアウアー15番。バッハに比べると随分とシンプル。ところどころに仕掛けられた半音の音程がミソなのだろう。フ〜ム。




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