弦楽アンサンブル #29

バッハ「管弦楽組曲第2番」の2回目。まだフルート抜きでの練習。今日は「ロンド」と「サラバンド」、それに管弦楽組曲第3番の「アリア」もやった。

「ロンド」も「サラバンド」も繰り返しが多い。繰り返し前の1回目はフォルテ、繰り返し後の2回目はピアノで弾くようにとの指示。指揮の先生のお話では、バッハの譜面は強弱記号がない場合はフォルテで弾くのが原則だそうだ。もちろん、ずっとフォルテのままというわけではなく、ピアノに切り替える箇所も指定された。

そういう場面での音量変化はデジタル的にスパっと切り替えるのがバロック風。弱音で弾いていてフォルテ記号が近づくと、山を登るように徐々に音量を上げてゆくのは、もっと後の時代の音楽のやり方で、バッハではそれはやらない。ピアノからいきなりフォルテにチェンジする。これと関連するのだろうが、音の粒が1個ずつ立つよう意識して弾くことも求められた。ベターっとした粘っこい弾き方はバロックではよろしくない。陰影の変化がくっきり明確に出るのがいいらしい。

それとファースト・ヴァイオリンが主旋律を担当し、ビオラやチェロは伴奏という役割分担はなく、対位法ではどのパートも主役であり、互いにぶつかり合う音楽になっているというお話も。各パートはそれぞれバンバン弾きなさいとのこと。

サラバンド」ではトリルのかけ方に関する説明があった。バロック音楽のトリルは音を強調するためにあるので単なる飾りではない。バロック時代に使われたチェンバロという楽器は徐々に音量を変化させる仕組みがないので、音を強く響かせたい場合はトリルで音の数を増やしてそれらしく聞こえるように演奏したのだとか。それで弦楽合奏でもトリルはそういう意味を踏まえてしっかり弾くのがいいのだそうだ。

最後に練習した「アリア」G線上のアリアで知られている曲。本来は弦楽合奏で弾く。指揮者が各パートごとに弾かせたので、セカンド・ヴァイオリン、ビオラ、チェロ(コントラバス)が何をしているのかよく分かって面白かった。特にビオラパートが単独で弾いた時は「オォ〜」と感心してしまった。ファーストが弾く有名な旋律の背後で、なかなか味のある動きをしている。ビオラが美味しい仕事をしているとは今まで気付かなかった。

指揮の先生によれば、この曲をストコフスキー弦楽合奏用に編曲した版がなかなか面白いそうだ。CDでは聞くことが出来ないがYouTubeにはあるとか。ムフフ。私はその版で録音したCDを持っている。御大ストコフスキーによる演奏はソニーから出ているRCA録音集14枚組BOX、EMIから出た10枚組BOXにそれぞれ別テイクのステレオ録音が収録されている。他にホセ・セレブリエール指揮ボーンマス交響楽団による「ストコフスキー:バッハ編曲集」(NAXOS)もある。セレブリエールは小澤征爾が若いころアメリカで一緒に勉強した人だそうで、凄い秀才だったとどこかで褒めていたのを読んだことがある。ストコフスキーの編曲はメロディラインをヴァイオリンとチェロに振り分け、交互に掛け合いで歌わせる趣向。チェロを妙に色っぽくもだえさせる典型的なストコ節が聞ける。

「アリアは弦楽アンサンブルにふさわしい曲。演奏すると気持ちいいね〜♪」と指揮者の先生がつぶやいていた。各パートのトップにはプロが座ってリードしているし、達者な人が多いので初回から綺麗に流れる。細部の表情をどう付けるかみたいな音楽的なことしか話題にならないのが、この弦楽アンサンブルの強みである。




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