チェロのレッスン 119 

今月最初の個人レッスンは、課題に出されていたドッツアウアー15番(ニ長調の練習曲)から。C線、G線での2の指使いがポイント。2〜3回弾いてOK。次の16番をリクエストされ初見でまあまあ何とか。これは次回に持ち越し。17番以後の曲もどんどんさらって来て下さいとのこと。20番台前半までは物足りない感じもする。継続中のバッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」に比べたらだが。

バッハはいつもと逆に後ろの曲から順番に弾いていった。今日の注意事項その①は「呼吸をする」ということ。私は弾き始めるとバリバリ・ガシガシと最後まで一気に突っ走る傾向がある。機械仕掛けの自動演奏みたいな即物的バッハになってしまいがち。楽譜に書いてあることしか音にしないから、ある意味、楽譜に忠実な演奏を志向しているといえなくもない。しかし、楽譜は不完全なメディアで、作曲家の思索のすべてが記譜出来るわけではない。演奏者側が行間を読み、書き込まれなかった要素を補足してゆく必要がある。呼吸を入れるのもそういう作業の一つ。音楽の流れに句読点を入れ、起承転結を作らないと単なる練習曲みたいになってしまう。単なる練習曲風でもパーフェクトに弾ければ、それはそれで面白いと思うし、ザッハリッヒなスタイルは嫌いではない。とはいえドライな不自然さは否定できないから、聞き疲れ・弾き疲れする。器楽的というより声楽曲みたいに弾くのが演奏も楽なのだろう。

注意事項その②は、左手の音程が忙しくなってくると、右手のボーイングがおろそかになり、弓が駒と指板の間を上下にずれながら動く癖があるとのこと。弾いている本人は分からないのだが、弓毛が弦に直交してないため音がかすれたり雑音が混ざったりしているらしい。目線は楽譜に集中しているから、弓がいる場所は確かに見てない。ブリブリした倍音系雑音もかなり目立つため、音の濁りを気にしないところは反省材料。

注意事項その③は、弓順が毎回違っているから、そろそろ統一するようにとのこと。楽譜に書いてあるスラーとかは適当に無視している(バッハ本人が書いたものじゃないし)。弾きたいように弾くので、くり返しの前後で弓順が違ったり、左手の指使い(ポジション)も随時ころころ変わる。

単純作業を生真面目にくり返すのは苦手だから、どういう弓順でもポジションでも弾けるようフリーにしておきたい。とはいえ、この前の鎌倉婦人会で間違えたのは、このテキトーさが災いした。人前で弾く予定があるなら、本番での混乱リスクを下げるために弓順やポジションは確定させる必要がある。

「そろそろ無伴奏組曲の第2番に行きましょうか」とS先生から勧められたが、「ま〜だ・ダ・メ・です!」と答えてしまった。以前の教室でヴィヴァルディのソナタを半年やらされた時はうんざりした。しかしバッハは半年ぐらいでは全然弾き足りない。「バッハをどういうイメージで弾きたいですか?」とも質問された。・・・答えられなかった。正確な音程、美しい音色、豊かな音量、端正なイントネーションで弾ければ十分。それ以外には何も浮かばない。




にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村

にほんブログ村 クラシックブログ ヴァイオリンへ
にほんブログ村