ヴァイオリン教室 #111

久しぶりにO先生による単独指導があった。「新しいバイオリン教本第2巻」55番「長調短調の音階練習」の14回目。ニ長調ロ短調の復習からスタート。続いて63番「ザイツのコンチェルト第2番」1楽章の復習をした。O先生は練習だからといって、もっさりしたスローテンポは採用しない。今回も今までの練習ではあり得ないほど速く弾かせた。それでもこの曲の標準よりは遅めだが、大半の生徒は付いて行った。

私が気になったのは43ページ最下段の2小節目にある三連符。多くの生徒が前のめりになり、急き込んで弾いていた。ここはリタルダンドとテヌートの指定があるから、あわてずに弾くべき箇所。そのことをO先生に確認したら、3小節目の3拍目にあるフェルマータに向かって徐々に遅くして行くのが好ましいとの回答、お手本演奏もやって下さった。しかし、その後の練習でも相変わらず突っ込んで弾く生徒達。私と先生の間で交わされた質疑応答や先生の模範演奏が理解出来ないらしい。他人事と思っているのかも。休憩後はO先生のピアノ伴奏に合わせて弾いた。初めてコンチェルトらしい練習を体験した。

後半44ページからの十六分音符が連続する箇所はアクセント記号のある音を重視するとか、十六分音符が終わって三連符に変わる箇所でのカウントの仕方について注意があった。三連符の最初の音にはgracioso,(典雅に)と注記があり、最初の音にアクセント、さらにスタカート記号も付いている。これらの細かい指定を注視して弾けば、急ぎ過ぎて転ぶことはないと思われるが、三連符というだけで何故か焦る人がいる。別団体の弦楽アンサンブルでは、三連符が出てくると、指導者が足先で床をたたいてリズムを数えながら三連符を弾けと教えている。ヴァイオリン教室の生徒が走るのを見ていると、足でリズムを刻ませる必要性がよくわかる。


最後にテキスト第3巻の27番サードポジションの練習から27番をの復習をやった。O先生から「ポジションを変える途中に楽譜に書いてない音を一つ加えるのは何故なのか。その理由の説明は聞いていますか?」と質問があったので(理由は知っているけれど)「聞いていませーん!」とお答えした。それでようやく「ポジションを移動する際に手の型を崩さず、そのまま水平移動させるため」という原理に関する説明をしてもらうことになった。O先生によると、間に一つ音を加えて練習させるのは欧州では伝統的なメソードで、日本の指導者はそこを割愛する場合も珍しくないとのことだった。感覚的な説明が多く、演奏理論に関する整然とした解説が不得手な指導者もいる中で、モスクワ音楽院に留学された経験を持つO先生は、外から日本のヴァイオリン教育界を眺めることが出来るのだろう。





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