つげのテールピース

フランスのボア・ダルモニ社製つげ材つげ材のテールピースを購入した。明るい黄色の個体で、テールコードはケブラー製の紐。さっそく、地味な音色のジャーマン・チェロに付けてみた。

音色は明るく低音もブインブインと良く鳴る。材の軽量性ゆえに音が明るくなるのは予想の範囲。しかし、楽器内部の残響が豊富になったのは、ちょっとびっくり。解放弦などはいつまでも鳴り響いている感じがする。残響の増加は、テールコードがナイロンから樹脂繊維を編んだケブラーに変わったことも影響しているのだろう。パーツを交換した直後には、こういう現象が起こりがちなので、しばらく時間が経過すれば、新しいパーツがなじんで、音も落ち着いてくるはずである。

鋼鉄と比べて5倍の強度を持つというケブラーは、非常に軽くて丈夫な素材。以前、ヴァイオリンでも使用したことがあった。その時は、高音は華やぐものの、低音が痩せるので使用を中止した。チェロはもともと低音が図太いから、多少のスリム化は気にしなくていいかもしれない。むしろクリアで見通しのいい鳴り方なので悪くない。

つげのテールピースを装着すると独特のもっちり感が音に付加されるが、ケブラーがやわらかさを中和する方向で作用しているようで、なかなかバランスがいい。重厚な外見の黒檀やスネークウッドの製品に比べると、このメーカーのつげの着色はかなり明るい(つげ材そのものは白っぽい色なので、どのメーカーでも染料で着色している)。ジャーマンには赤みがかったチョコレート色のニスが塗ってあるから、色調の違和感はかなりのもの。テールピースだけ浮き上がって見える。しかし、音が良いのでしばらくは使ってみようと思う。



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