東京駅のドームを見物

所要があって東京駅を通過したので、ちょっと寄り道。公開されたばかりの復元駅舎のドームを見てきた。明治末期に計画され、大正3年(1914年)に完成した建築だから、明治という時代が到達した世界観が凝縮されているような気がした。

駅舎ゆえ華美な金箔押しみたいな装飾はなかったが、クリームイエローと白漆喰の壁に、チョコレート色に塗られたアーチの配色がなかなか上品。ステーションホテルの部屋に通じるドアのサッシは緑色で、これもアクセントになっていた。19世紀末にイギリスで流行したクィーン・アン様式をアレンジして辰野金吾が設計した由。近代化にまい進していた国家の上昇志向の晴れやかさが、重厚過ぎず、軽過ぎず、いい感じで表現されている。

国内最大級のドーム空間は、和洋折衷の文明開化の時代感情が濃厚に反映されていて非常にモニュメンタルな性格が強い。ドーム下の円形広場は人でいっぱい。みなさん、見上げて写真を撮っていた。鳩よけの網がドーム下の空間全体に広げてあるので、それが邪魔だったが、しかたない。

こういう手の込んだ装飾のある建築は、昭和時代の丸の内界隈には、まだところどころに残っていたが、今は絶滅。三菱1号館に続いて、総本山の東京駅が旧に復したことは喜ばしい。明治時代の日本人の気概が込められているドーム空間は、眺めているだけで元気をもらえるパワーを感じる。毎日、あの下を歩いて、丸の内のオフィス街に通勤するみなさんは、どんな気分だろうか。



(東京駅の後、新宿に回り、ビックロの前を通った。都市景観に無配慮な商業建築には驚いた。明治は遠くなりにけり・・・)


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