共鳴機能付きエンドピンレスト

行きつけの弦楽器店の店主がイタリアに行った時に見つけてきたというエンドピンレストを見せてもらった。ローズウッドの類の木製品で、直径9cm 厚さ22mm。底部に滑り止めのゴムが貼ってある。

面白いのは太鼓型の構造。円筒形の木材の内側をくりぬいて空洞を作り、同じ材の底板を接着している。中空なので手に取ると予想外に軽い。表面には2個の穴(直径16mm)が開けてあって、片方にはプラスティック製のキャップを嵌めている。このキャップの部分でエンドピンの先端を受ける。エンドピンの先端は金属むき出しの方が音はクリアになるが、受け座のプラスチックは丈夫そうには見えないので、ゴムキャップを介して使う必要がある。

もう片方の穴はふさいでない。穴の断面に見えている材の厚みは6mmぐらいある。エンドピンから伝わった楽器の振動が内部の空間で共鳴して、穴から音が出てくる仕掛けのようだ。試しに私がチェロを弾いて、店主がその間に、この穴を指でふさいだり、開いたりして様子をみた。穴を開いている時は、たしかに共鳴音が大きく聞こえてきた。この穴はダテではない。

こんな小さな木製の小箱だから、内部空間の容量などたかが知れている。それなのに、チェロ本体の胴の内部で響く共鳴音まで、これを使うと増幅されてくる印象がある。ちょっと、びっくりしてしまった。おそらく内部の空間というよりも、箱全体が鳴っているのだろう。こんなエンドピンレストは見たことがないと店主が言うように、特許品らしい。イタリアで発見したのでヨーロッパ製かと思いきや、製造国は台湾だった。

幅広の黒いベルトが付属し、 椅子の脚に引っ掛けて使用する。普通のエンドピンレストが滑ってしまうような床でも安定して使えるわけだ。手元にある真鍮削り出し品や、プラスティックのレストなどは、エンドピンを止めるだけの機能しかないが、これは楽器の響きが微妙に豊かになるところが面白い。







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