チェロのレッスン 36

先生から別教室主催の発表会が2月にあるので出ないかとのお誘いを再び受けた。子供から大人まで出るそうで、アンサンブルもあったりして賑やからしい。バイオリンを習っていた頃に発表会は何度か経験しているから、イベント自体に新味は感じない。それよりも厳冬期に楽器を持って遠出するのは嬉しくないので、回答は保留にした。曲の方は相変わらずブレバールのソナタ第一楽章。人前で弾いてもそこそこに聞こえるように、9月からの3ヶ月間、細かく見ていただいている。

今回のポイントはベタ弾き。楽譜からの視覚的な影響というのか、丸いオタマジャクシが並んでいるのを見ていると、音を一粒ずつ、ぶつ切りにして弾きたくなる衝動にかられるが、それはダメ。 五線の間にオタマジャクシがコロコロと並んでいて、オタマジャクシ相互間の隙間は視覚的には余白でしかないが、実際はそこは無音ではない。ベターっと音がつながっている箇所なので、なめらかに弾き繋いでゆく必要がある。その際、変なアクセントやスタッカートを勝手に付けてもイケナイ。何も指定がない場合はベタ弾きに徹する必要があるのだが、1音ずつ弾いてゆく際に、音と音の合間に弓の圧力をフッと抜く傾向があって、コロンコロンと玉が転がるみたいになってしまう瞬間がある。音の流れが帯ではなく点の連続になるのだ。この癖を修正するには、手先のテクニックよりも、意識のあり方を直す必要がある。

たとえば76小節から78小節にかかる四分音符の下降形。何ということもない簡単な部分だが、ピアノからクレシェンドしてフォルテまで音量を増大させてゆく際に、1音ずつ弓が浮き上がっていては腰砕けになってしまう。息の長いスパンで考えてベターっと弾きつつ、音を大きくしてゆく。78小節の最初のEで最強音になるが、続くCとの間にカンマがあるので、ここで弓を切り返す。元弓のダウンでEを弾いた直後に余韻を残して、すばやく弓を元弓に戻しA線に移弦。Cにはアタックを付けてはいけないが、弦の上に弓毛を乗せて、しっかり噛ませてから一気に弾く。それに続くDはピアノ指定なのですっと力を抜くが、そこで弓は踊らせず、ずっとベタ弾きする。同じことは101小節の最後での切り返しにもいえる。この曲、一見、簡単に見える箇所に地雷が埋まっているような気がする。

この他のチェックポイントは音の強弱の幅をもっと大きくすることだった。f指定でそれほど大きな音量が出せないので、p指定の箇所の音量をもっと小さくしないと、相対的なダイナミクスが狭くなってしまう。

個人レッスンは月に3回ある。今回で36回ということは満1年が経過したことになる。12月から2年目に入る。今年の下半期は、スズキ教本第3巻の最後の曲「バッハのビオラ・ダ・ガンバソナタ第1番終楽章」と第4巻の最初に出ている「ブレバールのソナタ1楽章」の2曲だけで終わってしまいそうだ。


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