コンサートのお手伝い

今日はグループレッスンの主催者である地元アマオケ定期演奏会があった。演目は、シベリウスフィンランディア」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、チャイコフスキー交響曲第6番:悲愴」の 3曲。

われわれレッスン仲間は、裏方のお手伝いということで、ステージマネージャー補助、受付、来客誘導、ドアマン、アナウンス、カメラ撮影など、いろいろな役割を分担して引き受けた。私はこの手のコンサートはかなり経験しているから慣れているが、初体験のみなさんは緊張気味の様子。かしこまっている姿が初々しかった。

1400人入る地元市民会館の大ホールはほぼ満席で、立ち見が出るほどの盛況となった。 開場は13時だったが、その前に長い行列が出来ていたので、少し時間を繰り上げてお客さんを入れた。大勢いらしたので、用意したパンフレットが品切れになった。

びっしりと埋まった客席を見て団員さんたちも奮起したのか、気合が入った演奏をなさっていた。特にチャイコフスキー「悲愴」の第3楽章はノリノリの爆演で、ロビーまでドンドン・ガンガン、行進曲風の威勢のいいリズムが響いてきた。お客さんも興奮して、3楽章が終わった直後に拍手喝采となった。アンコールの「眠りの森の美女」のワルツも好評で、拍手が収まらなくて、同じ曲を2度やった(他にアンコール曲の準備をしてなかったゆえ、指揮者が申し訳なさそうな挨拶をして2回目をやった)。

私の役割はドアマンだったが、入り口で入場してくるお客さんにパンフレットを手渡す仕事もやった。一度に大量に入場されるので、お客さんの流れをさばくのは大変だった。入り口通路の両側に机を置いて、チケットのもぎりをしたが(もぎり担当は女子高)、半券を持って行かない人を追いかける律義な女子もいたりして・・・(席を離れたら次のお客さんの対応ができないから困ってしまう。私のそばにいた女子高生には「ほっておけ」と追いかけないように注意したが。

また、遅刻してやってくるお客もかなりいいて、演奏開始後にホール内に入場させるかどうかは私が判断して決めた。最初の「フィンランディア」は金管楽器が賑やかな曲なので(やかましい音楽なので)、遅参客には2階席での立ち見をお願いして演奏途中で入ってもらったが、2曲目のピアノ協奏曲では、演奏中は入場禁止。1楽章が終わるまでロビーで待ってもらい、楽章間のわずかな時間で、さっと入場していただいた。コンチェルトの1楽章がいつ終わるのか、スピーカーから聞こえる音でタイミングを見ていたが、チェロのレッスン仲間には、ロビーにいるのにホール内の様子がなぜわかるのか?不思議に思えたらしい。

演奏が始まってしまえばドアを開閉する必要はない。途中から楽屋にまわって、舞台の袖から演奏を覗いてみた。このオケはバイオリンが多いので、舞台は人でいっぱい(ファーストが18名、セカンドは20名)。多くは自前のグループレッスンで育成された方々だが、プロも何人かエキストラで入っていた。チェロパート(16名)にもプロの先生3名が加わり、団員たちの脇をしっかり固めていた。強力なエキストラさんたちの助太刀もあって、演奏会はなかなか聞かせるレベルに仕上がっていた。

ここのオケは休憩時間にロビーでお茶やジュースを無料提供するのが恒例なのだが、そのお手伝いもやった。2曲目のコンチェルトの3楽章の後半あたりから、紙コップに緑茶、ウーロン茶、マンゴージュース、グレープジュース、リンゴジュース、オレンジジュースなどを入れ始めさせてスタンバイ。アンコールの小品をピアニストが弾き終われば、一気に客がロビーに出てくる。飲み物を配布するテーブルの周りは、大量の人であふれた。女子高生らが飲料をコップに注いでは客に配っている。彼女らの後ろから、私は手を伸ばして、机上にどんどんコップを並べていった。目が回る忙しさだった。

そんな本番前の昼休みの時間。グループレッスンでお世話になっているS先生が、空になったステージに残って練習をなさっていた。そこでレッスン仲間のT氏と一緒にS先生に近づき、練習が終わるのを待った。理由は、先生のチェロをちょっとお借りして、大ホールの舞台で弾いてみたかったため。

そろそろお弁当の時間となり、楽屋に引き上げようとする先生からチェロを強奪・・・ではなくお借りした。舞台の真ん中でソロ演奏をやってみた(客席に人はいないから気楽なものだ)。

いつもレッスンで、いぶし銀の音色を放っている先生のチェロを弾かせていただいたのは初めて。ベルギー駒を付け、弦高を若干低めにセッティングしてあるようで、弦のテンションもいくらか緩めの印象。こういう柳腰の楽器は、弓圧を抑制して、ふわ〜っと響かせるように柔らかく弾いてやらないと音がつぶれる傾向があって、個人レッスンの発表会でやったようなバリバリ弾きは通用しなかった。

毎度のブレヴァールを弾いたが、大ホールの残響は少なめで 比較的デッド。砂漠で水を撒くような印象というのか、弾いても弾いても、音が空間に吸い取られてしまうようだった。手ごたえがなく、音量が出ているのかどうかも、当人にはよく分からない。そこで舞台に残っていたM氏に5mほど離れた位置で聞いてもらった。近くではおとなしいが、離れると、音がよく伝わってくるそうだ。な〜るほど。いい楽器とはそういうものである。 2階席にいたレッスン仲間にも、ちゃんと聞こえていたとのこと。先生の楽器で貴重な体験をさせてもらった。というわけで、ホールでの弾き心地を体験するオマケまで付いた裏方のお手伝いは、面白く楽しめた。

このオケの演奏会の収益は、盲導犬補助犬を育成している団体に寄付するそうで、ロビーにはお利口な犬さん3匹が来ていた。どの子も実にお行儀がよくて感心した。 休憩時間に、そばにいたお客さんの携帯電話が鳴ったら、突然、小型犬が吠え出した。耳が不自由な人をサポートする聴導犬とのことだった。








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